2012 Fiscal Year Annual Research Report
近赤外吸収ジラジカル錯体を基盤とする新規カチオン認識分子モチーフの開発
Project/Area Number |
24850003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
升谷 敦子 東北大学, 環境科学研究科, 助教 (10633464)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 近赤外吸収 / カチオン認識 / 金属錯体 / カチオン-π相互作用 |
Research Abstract |
カチオンを特異的に捕捉することで吸光や蛍光などの変化を生じる分子の設計は,生体及び環境計測分野における重要な課題の一つである.本研究課題では,配位子間電荷移動遷移による近赤外(NIR)吸収を示すジラジカル錯体を基盤として,新しいカチオン認識分子モチーフを開発することを目的とする.今年度は,ビス(o-ジイミノベンゾセミキノナト)Pt(II)と金属イオン間のカチオン-π相互作用形成に基づくカチオン認識能の検討を行った. ビス(o-ジイミノベンゾセミキノナト)Pt(II)のDMSO溶液にアルカリ金属イオン,アルカリ土類金属イオン,遷移金属イオンをそれぞれ添加した後のNIR吸収スペクトルを測定した.その結果,Mn(II)イオン,Fe(III)イオン,Pt(II)イオン,Cu(II)イオン,Ag(I)イオン,Hg(II)イオン,Pd(II)イオンを添加した際にNIR吸収の減少が見られた.これらの中でPd(II)イオン以外の6種類の金属イオンを添加した場合は,波長700 nmのNIR吸収が減少すると共に450, 820 nmの吸収が増加した.これらの吸収は一電子酸化二量体の吸収に一致することから,6種類の金属イオンが錯体を酸化することでNIR吸収に変化が生じたと考える.一方,Pd(II)イオンを添加した場合は一電子酸化二量体に帰属できる吸収は現れず,波長700 nmのNIR吸収の減少のみが生じた.これは,Pd(II)イオンが錯体のπ電子系と相互作用することで,配位子間電荷移動遷移に影響を及ぼしたためであると考える.今後,Pd(II)イオンと錯体間で形成する相互作用の様式を検討する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Reason
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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