2012 Fiscal Year Annual Research Report
水からの水素生成を駆動する高活性ニッケル錯体触媒の創出
Project/Area Number |
24850014
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山内 幸正 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (50631769)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | ニッケル錯体 / 水の可視光分解 / 水素生成触媒 / カルベン錯体 / 水溶性錯体 / 錯体触媒 / 光エネルギー変換 / 太陽光エネルギー |
Research Abstract |
本研究では、d8電子配置を有する低スピンニッケル(II)を中心金属として用いた、高活性な水素生成触媒の創出を目的としている。ニッケル(II)は置換活性であるため、一般にその錯体は容易に配位子置換を引き起こすが、N-ヘテロ環状カルベンを有する大環状配位子を用いることで、その安定性の向上を図った。配位子の合成は、2,6-ピリジンジカルボン酸を出発物質とし、文献法(Baker et al., Organometallics, 2002, 21, 2674; Tang et al., Spectrochim. Acta A, 2009, 72, 198.)を基に行った。各化合物は1H NMR及び元素分析により同定した。得られた配位子のブロモ塩を、有機溶媒可溶なPF6塩に変換した後、Ag2Oと反応させることで、銀カルベン錯体の合成に成功した。更に、銀カルベン錯体をNi(PPh3)2Cl2と反応させることで、目的錯体をPF6塩で得た後に、硝酸塩にイオン交換を行うことで、ニッケルカルベン錯体の水溶性塩を得ることに成功した。次に、錯体の水溶液中における安定性を1H NMRにより評価を行ったところ、予想通り本錯体は水溶液中でも高い安定性を誇ることを確認した。錯体の吸収スペクトルを測定したところ、320 nmと280 nm付近に弱い吸収が確認され、吸収帯の帰属をDFT計算並びにTD-DFT計算により行った。その結果、320 nm付近の吸収はMLCT遷移に、280 nm付近の吸収はπ-π*遷移に帰属された。最後に、本錯体の水素生成触媒機能について評価を行ったところ本錯体は水素生成触媒機能を示さないことが判明したが、本研究課題で合成した配位子は、その他の中心金属を持つ遷移金属錯体にも適用が可能であり、それらの水素生成触媒機能の評価が待たれる。
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Current Status of Research Progress |
Reason
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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Research Products
(7 results)