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2012 Fiscal Year Annual Research Report

無機ナノシートと高分子微粒子からなる動的液晶性薄膜のソフト界面への創製

Research Project

Project/Area Number 24850015
Research InstitutionKyushu Institute of Technology

Principal Investigator

毛利 恵美子  九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (60380721)

Project Period (FY) 2012-08-31 – 2014-03-31
Keywords無機ナノシート / 高分子微粒子 / 気水界面 / 動的光散乱
Research Abstract

本研究課題では、無機ナノシートの液晶性と高分子微粒子の単分散性、その形状および表面修飾の多様性を利用して、ソフトな界面(気水界面または油水界面)という限定された場に流動的薄膜系を構築することを目的としている。膜の動的な構造制御を、構成要素の液晶性と界面の柔軟性との調和によって実現する。この薄膜系は、流動性・非対称性という観点から、生体膜に似た機能を発現するとともに、無機物特有の剛直さ・機能性も併せ持つことが予想される。さらに、ナノシート特有の異方性の高い構造(数ナノから数十ミクロンオーダー)をもつ。このような物質を用いて流動性をもつ薄膜系を構築すれば、これまで数多く研究されてきた二分子膜、高分子膜等には見られない構造・機能を有する可能性があるため、本研究を遂行する。このような薄膜系構築に必要な基礎情報として、溶液中での無機ナノシートの構造、溶液中でのナノシートー微粒子混合系の相分離構造等を明らかにすることが必要であり、初年度は特にナノシートの溶液中での構造の評価を行った。
実際には、ニオブ酸ナノシートを調製し、超音波照射時間により、平均粒径の異なる5種の試料を準備した。これらの試料に対して、動的光散乱測測定を行いその粒径を評価した。比較的粒径の小さい試料3種については、粒径を見積もることが可能であったが、粒径の大きい試料については、散乱角度毎に異なる拡散係数が得られ、粒径を評価することができなかった。TEM観察から得られる乾燥時のナノシートの粒径と、光散乱測定から得られる粒径を比較したところ、これら2つの値には比例関係が見られ、かつ光散乱測定で得られる値が数百nm程度小さいという結果が得られた。光散乱測定で得られた情報は、水中でのナノシートの構造を反映したものと考えられる。今後、より詳細な形状を明らかにする予定である

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本課題により無機ナノシートに関する研究を開始したところ、無機ナノシート分散液中におけるナノシート構造という最も基本的な情報が、十分に明らかになっていないことが判明した。層状無機結晶を剥離して得られる無機ナノシートは、その厚みが1nm程度と非常に薄く、分散液中でのナノシートの形状は柔軟に変化しうることが想定される。しかしながら、ナノシートの形状の評価は、TEM、AFM等乾燥状態で行われることが多く、分散液中でのナノシートの形状の評価方法は確立されていない。本研究では、液中でのナノシートの構造体構築を目指しており、液中におけるナノシート形状に関する情報は、最も基礎的情報の一つであると考え、その構造の解明を行った。
当初の予定の達成度としては、やや遅れているが、本研究によりナノシートの基礎的かつ、新な知見が得られており、より広い意味でのナノシートの科学への貢献が達成できつつあると考えている。

Strategy for Future Research Activity

(1) 光散乱法によるナノシートの形状評価方法の確立
本年度は、新たに偏光板を組み込んだ光散乱装置を設置し、散乱測定を行うことにより、ナノシートの分散液中での形状を評価する。これは、一般的な動的光散乱法では、異方性をもつ粒子の形状を評価することが困難であるためである。TEMにより得られる、乾燥時の形状と、液中での形状を比較することにより、ナノシートの柔軟性を評価することができると考えている。
(2) 高分子微粒子/ナノシート混合系の相分離状態の評価
本研究の最終目的である界面における微粒子/ナノシート複合体系を目指すための基礎情報として、バルクにおける高分子微粒子/ナノシート系を調査する必要が生じたため、上記の混合系の相分離状態の調査を行う。高分子微粒子とその他の異方性粒子の混合系の相分離状態については、様々な系が調査されているが、高分子微粒子/ナノシート系に関する報告はない。
具体的には、高分子微粒子(ポリスチレンラテックス)とニオブ酸ナノシートの混合系を用い、体積分率を変化させて、相分離状態を観察し、相図の作成を行う。また、各相の構造を明らかにするため、共焦点顕微鏡観察、TEM、小角散乱測定などを予定している。この混合系は、ナノシートが非常に薄く柔軟性があるという点で、高分子微粒子/プレート状粒子混合系とは本質的に異なると考えられる。したがって、(1)で得られるナノシートの分散液中での形状と合わせて議論することで、ナノシート特有の相分離状態が明らかになると期待できる。この混合系の発展系として、ソフトな界面(気水界面または油水界面)という限定された場に流動的薄膜系を構築する。

  • Research Products

    (6 results)

All 2012 Other

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results) Remarks (2 results)

  • [Journal Article] 半導体ナノシート液晶2012

    • Author(s)
      中戸 晃之, 毛利 恵美子
    • Journal Title

      未来材料

      Volume: 12 Pages: 10-15

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] Pickering Emulsions Prepared by Layered Niobate K4Nb6O17 Intercalated with Organic Cations and Photocatalytic Dye Decomposition in the Emulsions T. Nakato2012

    • Author(s)
      T. Nakato, H. Ueda, S. Hashimoto, R. Terao, M. Kameyama, E. Mouri
    • Journal Title

      ACS Appl. Mater. Interfaces

      Volume: 4 Pages: 4338-4347.

    • DOI

      10.1021/am300987x

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] Pickering emulsions prepared by layered niobate intercalated with organic cations and photocatalytic dye decomposition in the emulsions2012

    • Author(s)
      Emiko Mouri, Hiroaki Ueda, Ryosuke Terao, Teruyuki Nakato
    • Organizer
      World Congress on Oleo Science 2012 (WCOS2012)
    • Place of Presentation
      アルカス佐世保
    • Year and Date
      20120930-20121004
  • [Presentation] 半導体ナノシート液晶の外場による構造制御2012

    • Author(s)
      毛利恵美子、南野佳宏、中戸晃之
    • Organizer
      第二回ソフトマター研究会
    • Place of Presentation
      九州大学 西新プラザ
    • Year and Date
      20120924-20120926
  • [Remarks] 九州工業大学の研究者

    • URL

      http://www.kyutech.ac.jp/professors/tobata/t4/t4-3/entry-518.html

  • [Remarks] 九州工業大学 集合体化学研究室ホームページ

    • URL

      http://www.che.kyutech.ac.jp/chem28/chem28.html

URL: 

Published: 2014-07-24  

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