2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24860011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藪内 聖皓 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (70633460)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 照射損傷 / ボイド / 純鉄 / 転位 / 照射硬化 / 微細組織 / 透過型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
平成24 年度は、純鉄を用いて、試料の準備、試験片への加工、イオン照射によるボイドの導入、ナノインデンテーションによる硬さ試験、照射後試料の組織観察を実施した。 1.試料の準備・試験片への加工:供試材として99.99%の純鉄を購入し打ち抜きにより、微小引張試験片と直径3㎜のディスク状試験片を作製した。その後1273Kで1時間のオーステナイト化を行い、その後炉冷した。熱処理後の試験片は、バフ研磨まで機械研磨を行い、最終仕上げとして、過塩素酸メタノールによる電解研磨を行った。 2.イオン照射によるボイドの導入:試料中にボイドを導入する方法として、イオン加速器を用いた照射実験を実施した。電解研磨仕上げした微小引張試験片、直径3㎜ディスク状試験片に対して、照射温度は400℃とし、6.4MeVのFe3+イオンを1dpaまで照射した。 3.照射後の強度特性評価:ディスク状試験片のイオン照射前後の微小硬さをナノインデンテーション試験によって測定した。硬さの測定はCSM法を用いて深さ方向に連続的に硬さを測定した。照射領域の硬化量は、Nix-Gaoモデルに基づいてバルク相当硬さを求めることで算出した。その結果、照射領域においてわずかな照射硬化を観察した。 4.微細組織観察:イオン照射したディスク状試験片に対して、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて微細組織観察を実施した。TEM観察用試験片は、試料表面を電解研磨により数百nmセクショニングし、裏面を電解研磨でバックシニングすることにより作製した。組織観察の結果、照射によって形成した主な照射欠陥はボイドであることを確認した。 イオン照射を用いて材料中にボイドのみを形成させ、その機械特性を評価することに成功しており、空孔集合体と転位との相互作用を明らかにするための極めて重要なデータが取得された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、材料の準備、試験片への加工を実施し、特に鉄に関しては、試料へのイオン照射によるボイドの導入、ナノインデンテーションによる硬さ試験を実施した。 供試材として純鉄を購入し、打ち抜きにより、微小引張試験片と直径3㎜のディスク状試験片を作製、その後熱りょしを実施した。熱処理後の試験片は、バフ研磨まで機械研磨を行い、最終仕上げとして、過塩素酸メタノールによる電解研磨を行い、以後の試験に最適な試験片が作製できた。 上述の試験片に、イオン加速器を用いた照射実験を実施した。照射温度は400℃とし、6.4MeVのFe3+イオンを1dpaまで照射した。照射後の試験片に対して、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて微細組織観察を実施し、照射によって形成した主な照射欠陥はボイドであることを確認している。 本試験片について、ナノインデンターによる超微小硬さ試験を実施し、ボイドによる照射硬化を測定することに成功している。 当初の予定通り、ボイドが主な照射欠陥である試験片の作製に成功し、その硬さ変化と微細組織観察を実施しており、他に類を見ない先駆的な研究を展開してる。 前述の通り、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
照射した微小引張試験片を降伏応力を超える応力で引張試験を実施し、その後の試験片の微細組織観察を実施する。引張後の試験片では、変形による転位が導入されており、転位とボイドとの相互作用が観察されると考えられる。また、イオン照射によりボイドを導入した試料に対して、透過型電子顕微鏡内での引張その場観察を実施する。これによって、ボイドと転位の相互作用をダイレクトに観察することができる。得られた結果を包括的にまとめ、ボイドと転位の相互作用についてモデルを構築し、ボイドの転位に対する抵抗がどのような機構に基づいているかを議論する。
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