2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24860012
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松浦 昌志 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00633942)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 磁性薄膜 / 保磁力 |
Research Abstract |
(i) 磁性下地層の成膜条件の検討ならびに、(ii) 磁性下地層上に成膜したFeCoの格子歪と磁気特性の調査 Fe4N(001)上にFeCoがエピタキシャル成長した場合、その格子の軸比(c/a)は1.21になると計算され、高い結晶磁気異方性が発現する可能性がある。そこで、Fe4N(001)薄膜の作製条件を検討した結果、スパッタリングガスであるArにN2ガスを混合することでFe4N相の(001)面に由来するピークの出現をXRDにて確認した。しかしながら、Feのピークが残存しており、Fe4N単相膜を得るためにはさらなる成膜条件の検討が必要であることが分かった。そこで、単相であるために比較的容易にエピタキシャル薄膜が得られ、かつFeCoの軸比(c/a)を変化できる可能性のあるRhを下地層として用い、FeCoをエピタキシャル成長させた場合のFeCoの軸比を調べた。成膜条件の最適化を行った結果、Rh(001)[100]//FeCo(001)[110]の方位関係でエピタキシャル成長したFeCo薄膜が得られた。このときFeCoのc/aは1.01であった。 (iii) FeCoの格子歪と磁気特性への添加元素の影響 Nなど軽元素はFeCoの格子間に侵入し、その格子定数を歪ませる可能性がある。そこでAr+N2混合ガスを用いてFeCo層を成膜し、磁気特性と格子定数を調べた。Arガスに窒素ガスを20%混合してFeCo層を成膜するとFe4N相のピークが出現したことから、 窒素ガス混合スパッタ法を用いることによりFeCo層の窒化に成功したと考えられる。 たま、窒素ガスを10%混合してFeCo層を成膜し、さらに200℃で熱処理した試料ではc/aが1%程度伸びることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H24年度は装置トラブルもあり当初の計画からやや遅れているが、すでにその遅れをカバーできる体制を整えており、研究全体の進捗に問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はRh下地層上に成膜されたFeCoの格子歪および磁気特性について調査する。具体的な研究内容は以下の通りである。 (i)Rh下地層上に成膜されたFeCo層の格子歪と磁気特性への窒素中熱処理の影響調査 軽元素である窒素はFeCoの格子間に侵入し、その格子を歪ませる可能性がある。Rh下地層上に成膜されたFeCoは界面における格子ミスフィットの影響で既に一軸方向に歪んでいるため、窒素の侵入によってさらに格子歪が拡大する可能性が考えられる。そこで、FeCo層の成膜時にN2ガスを混合することで軽元素であるNをFeCo層内に侵入させ、FeCoの格子定数および磁気特性の変化を調べる。 (ii)添加元素X(X=Ti, Zr, Crなど)の添加によるFeCo層の格子歪と磁気特性への影響調査 FeCo層に元素Xを添加することで格子が歪む可能性が考えられる。したがって、Rh上に成膜したFeCo層に様々な元素Xを添加した場合のFeCo層の格子歪と磁気特性を調査する。このとき、添加元素Xとして窒素との結合しやすい元素(Ti, V, Crなど)を選択し、(i)の手法でFeCo層内にNを導入することで、添加元素Xと軽元素(N)の相乗効果によりFeCo層の格子歪の増大を試みる。
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