2012 Fiscal Year Annual Research Report
複雑ネットワーク解析とシミュレーションによるサプライネットワークの頑健性の検証
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24860017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鬼頭 朋見 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50636107)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 複雑ネットワーク / サプライチェーンマネジメント / 実データ / システム設計 / 頑健性 |
Research Abstract |
本研究は、日本の基幹産業である自動車製造業におけるサプライネットワークを、自然災害や経済不況など様々なリスクに対してより頑健なものにするため、現実の複雑なネットワークの構造的変遷の解析やリスク検証を行うものである。 本年度は、部品カテゴリを限定し、各部品のサプライネットワーク構造の経年変化を捉えるデータの収集および、その特徴解析を行った。数千にものぼる部品からカテゴリを絞ることで、個々の部品の特徴(技術の成熟度、価格、製造量など)やサプライヤの個別の事情が、如何に供給構造に影響しているかをより詳細に分析することが出来、今後より多くの部品について分析する優位性を確認する礎となった。 分析では、生態学において、生態系の頑健性と、その系に属する種の生存性とのジレンマ的関係を定量化したネステッドネスという指標を導入した。これにより、全体としての市場全体の頑健性と、サプライヤ個々の生存戦略との関係性を議論することが出来た。分析結果から、市場が成熟するにつれ、市場全体が頑健性を増す方向に構造変化を遂げている様子が分かった。一方で、資本関係のある系列サプライヤに任せてしまう製造体制が出来ている部品では、市場の頑健性が理論的には低いにも関わらず、他社が参入できない均衡状態となっている様子も分かった。また、これらの市場にサプライヤが参入するには、どのような生存戦略を取るべきかについても、シミュレーションによって示唆を得た。 これらの結果から、データ量を増やすことでより有意な示唆を齎し得ることが示され、次年度の研究の方向性が確たるものとなった。なお、本年度の研究成果は、データ追加をしつつ次年度中に発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の成果は十分に出ているため、研究自体は順調に進展していると言える。 ただし、成果の内容が、より研究を進めることでより大きな成果となることを伺わせるものであるため、研究発表(学会発表や論文投稿)が後回しになり、計画より遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の成果から、全体としては正しい方向に研究を推進できていることが確認できたと考えている。 今後は、さらなるデータの収集と分析を進める。また、当初の予定通り、次年度に予定しているシミュレーションなどにも着手する予定である。 また、研究成果の説得性を増すために、データ収集と分析に注力したため、今年度の研究成果をまとめた報告がまだ出来ていない状況である。今後の成果と統合し、学会発表や学術論文投稿をおこなう予定である。
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Research Products
(3 results)