2012 Fiscal Year Annual Research Report
極めて柔軟で透明な高性能カーボンナノチューブデバイスの開発
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24860018
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
相川 慎也 独立行政法人物質・材料研究機構, その他部局等, 研究員 (40637899)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / フレキシブルエレクトロニクス / 透明導電膜 / ポリマー絶縁膜 / プラスチック基板 |
Research Abstract |
次世代電子デバイスとして世界的に注目されているフレキシブルトランジスタを,世界に先駆けて開発を主導していくためには,デバイスの高性能化(高移動度・低電圧駆動・高いオンオフ比)とともに高機能化(薄・軽・柔・透明)が必要であり,その手段としてプラスチック基板やポリマー絶縁膜の薄膜化が検討課題となっている.これまでの研究で,薄いプラスチック基板,ポリマー絶縁膜,単層カーボンナノチューブ(SWNT)膜電極,SWNTチャネルで構成された超フレキシブルオールカーボントランジスタを実現している.しかしながら,ポリマー絶縁膜とSWNTチャネルとの相互作用に由来する極性変換など,デバイスの高性能化に不可欠な特性制御に関する未解決の課題があった. 平成24年度は,これまで絶縁膜および基板として使ってきたポリビニルアルコール(PVA)とSWNTとの相互作用がデバイスの電気特性に及ぼす影響を調べた.また,PVAを用いたキャパシタ構造を作製し,周波数応答測定およびトラップ密度の見積もりを行った. 結果として,PVA塗布によるSWNTトランジスタの両極性変換は,PVA内の固定電荷が主要因であることがわかった.この結果を基に,電子供与性分子を混入させ固定電荷密度を変化させることで,SWNTトランジスタの大気中n型動作に成功した(通常,大気下ではp型特性しか示さない).一方,ポリメタクリル酸メチル(PMMA)溶液を塗布した場合には,塗布前のp型特性を維持することが,予備実験の結果からわかっている.PVAは極性ポリマーであり,PMMAは無極性ポリマーであることから,ポリマー/SWNT界面での電荷交換は,ポリマーの極性が重要な役割を果たしている可能性が示唆される. これらの結果は,塗布プロセスによるSWNTトランジスタ相補回路の実現に有用である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属研究機関の変更があり,使用装置の条件最適等化に時間を要したため,当初の研究計画よりも遅れ気味である.
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の実施状況から,研究計画達成のためには,ポリマー/カーボンナノチューブ界面での電荷交換の理解およびポリマーの極性による電気特性制御が重要な役割を果たしていることがわかってきた.これは,概ね申請書記載の研究計画から大きく逸脱していない.25年度は,計画通りに研究を進めていく予定である.
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Research Products
(14 results)