2012 Fiscal Year Annual Research Report
鋼製スリットダンパーの低サイクル疲労特性及び動的耐震性能の定量化
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24860060
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
焦 瑜 東京理科大学, 工学部, 助教 (40632493)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 鋼製スリットダンパー / 低サイクル疲労特性 / エネルギー吸収能力 / 繰り返し載荷実験 |
Research Abstract |
【研究の目的】鋼製スリットダンパーは、鋼材の塑性域を利用してエネルギー吸収する履歴型制振ダンパーである。既往の研究では、スリットダンパーの形状の変化に伴う疲労性能の変化について比較検証している研究が殆どない。形状が異なるダンパーの疲労特性を正確に把握することは、求める建物の性能及びダンパーの使用箇所に応じて、適切なスリットダンパーを用いる建物の設計に必要不可欠である。そこで、24年度の研究では形状の異なるスリットダンパーの繰り返し載荷実験及び解析を行い、その結果から形状の違いによる疲労性能の変化を初歩的に把握することを目的とした。 【研究実施計画】実験パラメータは試験体baseを基準に、スリット端部孔の半径、リブの幅、リブの本数を変更したものの計4種である。実験装置はオイルジャッキ・反力治具・加力治具・L型治具・横補剛システムからなる。試験体に計4台のバネ式変位計を用いて、それぞれの計測値から試験体の相対変位を求めた。また、試験体に塑性ゲージと弾性ゲージをはりつけた。片振幅8mm、24mm、40mmの3パターンの一定変位振幅載荷履歴を用いた。 【実験結果】本研究ではあるサイクルの最大耐力はその試験体が経験した最大耐力の90%まで耐力が低下した時点を終局状態とした。全ての試験体において平行部の端部から亀裂が発生、載荷中亀裂が進展し終局状態に至った。いずれの試験体においても、終局状態まで安定した紡錘形履歴曲線を示している。本実験の範囲から、スリット端部穴の半径が大きい、リブの幅が大きい、またはリブの本数が多いスリットダンパーは終局状態までの繰り返し回数が少ない、終局塑性エネルギー吸収能力も低下した。 【解析】24年度では、解析プログラムの作成まで完了し、実験と合わせて異なるパラメーターで初歩的な数値解析を行った。現在の解析モデルはもっと精度を高める必要があることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
24年度では「鋼製スリットダンパー静的繰り返し載荷実験」及び「鋼製スリットダンパー繰り返し数値解析」計画した。 実績では、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
1.鋼製スリットダンパー静的繰り返し載荷実験(追加) 目的:鋼製スリットダンパーの低サイクル疲労特性を把握するため、24年度行った400N/mm2級スリットダンパー静的繰り返し載荷実験の上で、パラメータを増やして追加実験を行う。試験体と実験パラメーター:24年間の実験を検討する上、既往文献調査などによる形状が異なるスリットダンパー試験体を設計する。実験装置:24年度の実験装置を改造し、本実験は東京理科大学葛飾キャンパス実験棟にある小型反力フレームにて行う。 載荷履歴:24年度実験結果を検討する上で、本実験では、2種類の載荷履歴を考案する。疲労曲線を求めるため、一定振幅繰り返し載荷を行う。また、破壊モデルを提案する事を目的とし、アメリカSAC Joint Ventureに推奨されているSAC2000層間変位制御載荷履歴で繰り返し載荷を行う。 2.鋼製スリットダンパー繰り返し数値解析(第二段階)及びFEM解析 目的:24年度行った数値解析を基礎とし、解析プログラムを改造し、精度と高めてパラメトリックスタディを行い、スリットダンパーの低サイクル疲労曲線を求める。また、FEM解析も行い、数値解析とFEM解析の結果を比較する。数値解析方法:せん断力を受けるスリットダンパーのスタットは両端固定梁のように変形し、その半スパンは曲げと軸力を受ける片持ち梁に置換できる。本解析は文献1)の数値積分による面内解析と同様のアルゴリズムを用いる。この方法は、平面保持の仮定の下で断面内の力の釣り合いを解くことで、各断面に作用するモーメントの増分に対する曲率の増分を求め、材長にわたり曲率を積分することで外力に対する変形を求めるものである。 参考文献1)山田哲,焦瑜,吉敷祥一:任意の載荷履歴を受ける梁の延性破壊によって決まる塑性変形能力, 鋼構造シンポジウム2011, 2011.11
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Research Products
(3 results)