2012 Fiscal Year Annual Research Report
大腿切断者を含む制約のないヒトの運動解析および歩行訓練技術の開発
Project/Area Number |
24860063
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
林 祐一郎 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (70631935)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 機械力学・制御 / 臨床 / リハビリテーション / バイオメカトロニクス / 歩行分析 / 解析・評価 / 日常生活動作 / システム工学 |
Research Abstract |
最初に,筋骨格モデルを適用したシミュレーションソフトウェアSIMMによって,平地歩行中に既存の設置型床反力計および3次元動作解析装置を用いた場合における大腿義足装着者の関節間力,関節モーメントを理論解析の結果として数値計算により求めた.次に,移動式床反力計および姿勢センサ,義足内蔵型6軸力覚センサを併用して実験室外の環境下で生じる下肢の運動状態を計測し,その際に生じた床反力,足底圧中心点,関節角度,関節間力,関節モーメント,関節パワーなどとの相関性を調べ,計測データを実験結果として健常者と大腿義足装着者,健足側と義足側の相互比較をおこなった.ここで,各歩行解析システムは被験者に適用,装着するものとし,歩行計測実験においては日常生活動作を反映した屋外の平地,斜面および階段の昇降を路面環境として使用した. さらに,歩行計測実験において得られた各種物理量に関するデータ解析をおこない,姿勢センサの装着位置に対応した下肢に生じる床反力,関節角度,関節モーメントに加えて,一歩行周期での各関節の仕事率である関節パワーを積分した消費エネルギを求め,ヒトの歩行に関する特徴量として抽出し,定量的な歩行評価指標を定義した.加えて,歩行の制御メカニズムを具体的に解明する上で重要となる各関節間の協調動作における時空間パターンを調べるため,これまでに触れてきた生体医工学的・運動学的物理量の時系列データを立脚期,遊脚期,両脚支持期などに分類して行列にまとめ特異値分解を施し,得られた特異値を関節間の寄与度とみなし,各被験者・各歩行条件に関して整理することによって,無拘束状態におけるヒトの各身体部位で最も相関が高い動作パターンを抽出し評価した.これらを包含した提案手法を,大腿切断者を含む制約のない汎用性を持つヒトの歩行運動解析技術として開発し,被験者や歩行周期における統計処理も考慮した上で,有効性を検証した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
筋骨格モデルシミュレーションソフトウェアSIMMによって,歩行中に既存の設置型床反力計および3次元動作解析装置を用いた場合における大腿義足装着者の関節間力,関節モーメントを理論解析の結果として数値計算により求めたが,階段歩行については実験を実施していない.次に,移動式床反力計および姿勢センサ,義足内蔵型6軸力覚センサを併用して実験室外の環境下で生じる下肢の運動状態を計測し,その際に生じた床反力,足底圧中心点,関節角度,関節間力,関節モーメント,関節パワーなどとの相関性を調べ,計測データを実験結果として健常者と大腿義足装着者,健足側と義足側の相互比較をおこなった.しかし,上肢や筋電については評価できておらず,義足側の関節モーメントなども正確に算出できていないことから,これらを今後の達成目標とする. さらに,歩行計測実験において得られた各種物理量に関するデータ解析をおこない,姿勢センサの装着位置に対応した下肢に生じる床反力,関節角度,関節モーメントに加えて,一歩行周期での各関節の仕事率である関節パワーを積分した消費エネルギを求め,ヒトの歩行に関する特徴量として抽出し,定量的な歩行評価指標を定義した.加えて,歩行の制御メカニズムを具体的に解明する上で重要となる各関節間の協調動作における時空間パターンを調べるため,これまでに触れてきた生体医工学的・運動学的物理量の時系列データを立脚期,遊脚期,両脚支持期などに分類して行列にまとめ特異値分解を施し,得られた特異値を関節間の寄与度とみなし,各被験者・各歩行条件に関して整理することによって,無拘束状態におけるヒトの各身体部位で最も相関が高い動作パターンを抽出し評価した.これらを包含した提案手法を,大腿切断者を含む制約のない汎用性を持つヒトの歩行運動解析技術として開発し有効性を検証したが,3次元トレッドミルを適用した実験は未実施のままである.
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Strategy for Future Research Activity |
提案手法に基づく歩行評価指標の有用性を実際的な歩行訓練における観点から理解,確認するため,床反力計となる多軸力覚センサを床面内に埋設した被験者の歩容,歩行速度に対応して左右の足それぞれを個別のベルト速度,進行方向による並進外乱を与えて制御することが可能なスプリットベルト式の3次元トレッドミルを計測装置として適用し,健常者および大腿義足装着者を被験者とする片足もしくは両足に適宜変更してベルト速度を付加する歩行計測実験をおこない,健常者は移動式床反力計および姿勢センサを用いた歩行解析システム,大腿義足装着者については6軸力覚センサ内蔵型義足歩行訓練装置を併用した場合の各出力を相互比較するとともに,受動的な歩行の変化を観察しデータを取得し,定義した評価指標値を算出する.続いて,計測データを解析した上でベルト速度と各歩行評価指標との相互関係を調べ,被験者の身体特性に準じた最適な外部入力の大きさを判断し,どの評価指標値がより大きく改善されているか,一歩行周期中において規則性を持つ変化が顕著に現れており歩行訓練に有用であるかどうかを,ばらつきなどの統計的な観点からも検証する.具体的には,ベルト速度や進行方向との詳細な関連性を位置づけるため,応答曲面法,満足度関数を用いた多目的最適化手法によって各評価指標が歩行パラメータに依存することを示し,最適解として健常者および大腿義足装着者への外乱を同定した上で,歩行訓練に対する有効性を検証する.最終的には,最適な評価指標を決定した後,大腿義足装着者を始めとする歩行障害者に対して提案手法を用いた実験結果に基づく歩行訓練をおこない,運動学習効果が評価指標値に十分な形で反映されていることを確認した上で,これらを歩行障害者に用いる客観的指標を持つ歩行訓練技術の開発としてまとめ,有効性を検証する.また,上肢や筋電,義足側の関節モーメントについても評価する.
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Research Products
(11 results)