2012 Fiscal Year Annual Research Report
アミド型新規配位子とナノ吸着剤を用いたアクチノイドとランタノイドの選択的な分離
Project/Area Number |
24860070
|
Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
AWUAL MD Rabiul 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 博士研究員 (90633199)
|
Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
|
Keywords | Lanthanide(III) / EXAFS / Coordination / Separation and recovery |
Research Abstract |
ランタノイドイオン(Ln(III))と安定に錯形成する、レアメタル選択的分離のための新しい機能材料を開発した。はじめに、メソ構造材料とOとNドナー配位子であるいくつかの異なるPTA誘導体を調整し、そのPTA誘導体をメソ多孔体上に固定化することに成功した。この配位子を固定化した材料は、そのネットワークサイトへのLn輸送に対し高効率で迅速な応答性示す 球状の空孔を有し、また、リガンドの固定化による空孔容量の損失も殆どなく高度な捕捉能を有している。興味深いことに、Ln(III)を吸着した配位子-メソポーラス材料のEXAFSデータはLn(III)特異的な配位子錯体の結果とよく一致しており、この材料がLn(III)イオン回収に特異的な機能を示すメソポーラス個体材料であることを明らかにした。 最も重要な点として、次の事があげられる。1)三価Lnと安定な錯体を作る傾向が強いため、一価または二価のイオンであるナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物イオン、硫酸イオンと硝酸塩イオン等の存在による影響を受けない。2)EXAFSデータはO, Nドナー原子がLn(III)イオンに強く配位することにより安定な錯体を形成することを示す。3)Ln(III)錯体の結晶構造解析の結果は、配位子のO, Nドナー原子が2つの5-員環を形成することにより安定な錯体を形成することを示唆する。さらに、Ln(III)とアミド酸素の結合距離は、Ln(III)とフェナントロリン部位の結合距離より短いことも明らかとなり、この結果は酸素ドナーがより積極的に働くナノ吸着剤であることを示している。これらの結果より、特異的な配位子を固定化したナノ吸着剤は、排水等からのLn(III)イオンの分離・回収への応用に有望であることが示唆された。これらの知見は、Ln(III)分離科学の進展に寄与するものと期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
我々はドナー元素の性質に基づくアクチノイドの配位メカニズムや機能材料の開発に関する研究を行っている。それに加え、私はナノテクノロジーを利用した機能材料の調整に関する研究も進めてきた。これらの経験を基に、本研究では配位・錯形成メカニズムに基づくランタノイド分離及び回収システムの開発を計画通りに遂行することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
メカニズム解明は今後の研究計画における重要な基礎となると考えられ、それに基づき、レアアースの分離・回収に有効な機能材料の開発を進める予定である。今後は複合型ドナー原子配位子の誘導体を合成し、それらをタイプの異なるナノ材料に固定化することを計画している。配位子の同定はNMRとCHN元素分析により行い、また、液-液抽出法により配位子の分離・錯形成特性を検討する。配位子を固定化したナノ材料の機能評価は固-液抽出によって行い、また、X線結晶構造解析とEXAFSからLn(III)との錯形成特性を明らかにする。
|