2012 Fiscal Year Annual Research Report
電力系統の特性を詳細に模擬した新しいエネルギーシステムモデルの開発
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24860074
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
益田 泰輔 独立行政法人産業技術総合研究所, エネルギー技術研究部門, 研究員 (40635794)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 電力工学 / 再生可能エネルギー / 地球温暖化ガス排出削減 / 蓄電デバイス / エネルギー全般 |
Research Abstract |
本研究では,風力発電や太陽光発電などの再生可能エネルギー電源が大量に導入され,それに伴う新しい電力系統技術である,再生可能エネルギー電源の出力予測技術,蓄電池などの系統安定化技術,スマートメーターを用いた需要側制御技術などが利用される将来の電力系統の特性を詳細に模擬した新しいエネルギーシステムモデルを開発することを目的としている。モデルは利用実績の高いエネルギーシステム分析モデルMARKAL(Market Allocation)の機能を拡張することで設計し,新しいモデルを用いてシナリオ分析を行う。 平成24年度は,MARKALの多時間帯化に取り組み,発電機の変化率および調整力を考慮することで電力系統の需給制御を模擬し,平日・休日・特異日(低負荷日または高負荷日)を考慮して1日24時間断面(1断面=1時間)での分析が可能なモデルを作成した。作成したモデルでは従来のように設備量と設備利用率の単純な積で太陽光発電や風力発電などの発電電力量を計算するのではなく,出力の時間変化も考慮することができる。さらに,電気式給湯機器による電力需要制御も考慮できるようモデルを拡張した。また,モデルを用いたシナリオ分析も行い,電気式給湯機器による電力需要制御が,太陽光発電の導入量に影響を及ぼす場合があることを確認した。 研究成果の一部は論文にまとめ,国内学会において発表した。 現在,国内学会に論文1件(発表確定),査読付国際会議にも論文1件(査読中)を投稿しており,平成25年度中に発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画では,平成24年度中にMARKALの多時間帯化と多地域化を行い,平成25年度に複数のシナリオ分析を行うことになっていたが,現在までにMARKALを多時間帯化した新しいモデルを作成し,需要側制御技術を用いた将来の電力系統を想定したシナリオを分析した。モデルの多地域化の前にシナリオ分析の一部を行っており,当初の予定とは進行の仕方が異なるが,期間全体の進度としては十分であると考えられ,おおむね順調に進展しているものと評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに,モデルの多地域化と需要側制御技術を用いたシナリオ分析の一部が終了している。今後取り組むべき内容は,モデルの多地域化と,将来のエネルギー技術を考慮したさらなるシナリオ分析を行うことである。平成25年度は,まず,蓄電池や電気自動車などのエネルギー技術を利用した場合のシナリオ分析を行う。その後,再生可能エネルギー電源の地域特性や,電力系統の地域特性をモデルに反映し,同様のシナリオ分析を行う。なお,同時並行して,分析結果からモデルの妥当性を検証し,適宜モデルを修正して改良を図る。
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