2012 Fiscal Year Annual Research Report
放電プラズマプロセスによる次世代二次電池用コンポジット電極の創製
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24860075
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
作田 敦 独立行政法人産業技術総合研究所, ユビキタスエネルギー研究部門, 研究員 (30635321)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | カーボン / 放電プラズマ / リチウム-硫黄二次電池 / 固体電解質 |
Research Abstract |
本年度は、次世代型二次電池であるリチウム-硫黄二次電池用のコンポジット正極の電気化学的特性評価及び、放電プラズマプロセスを用いたカーボン-硫黄コンポジット正極の高性能化のための新規機能性カーボンの合成法の探索を行った。 本研究の開発目標のカーボン-硫黄コンポジット正極の比較対象として、ボールミルを用いて市販のナノカーボンと硫黄のコンポジット材料を作製し、有機電解液及び無機固体電解質を用いた電気化学セルを用いて正極の評価を行った。無機固体電解質としては、硫化物系固体電解質を作製し、報告されている導電率が得られていることを確認した。有機電解液を用いたセルで評価した場合、初回放電時には約800mAh g-1の容量が得られるが、充放電の効率が悪く硫黄が電解液中に溶出し、レドックスシャトルを起こすことが確認された。複合化手法を検討する中で、カーボン量が多く、長時間ボールミル処理を行うで、低容量化するが、充放電効率が高く、充放電サイクル寿命が高い材料が得られることが分かった。無機固体電解質を用いた場合には、理論容量に近い1500 mAh g-1の充放電容量が得られ、サイクル性も比較的良好であったが、コンポジット電極中に多量のカーボンと固体電解質が必要であり、硫黄の重量比が50wt%以下でないと1000 mAhg-1以上の容量を得ることが困難であった。放電プラズマプロセスを用いた機能性カーボンの合成において、出発物質としてスクロースやクエン酸を用いた場合、前処理温度によって得られるカーボンの形状が大きくことが分かった。本研究では、前駆体の形状を保持するために通電加熱の際の加圧は下限値としている。しかし、原料に有機分子や高分子を用いた際には、加熱及び軟化により、下限値での加圧でも形状保持が困難であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各種出発原料からのカーボン材料の合成やカーボン-硫黄コンポジット材料の作製はできていることや、電気化学的特性評価の準備が整ったことなど、研究活動をスタートするという目的は達成されつつある。一方で、本研究の挑戦的研究課題である、新規機能性カーボンの合成に対しては、放電プラズマプロセスのメリットである急速加熱を生かした炭素材料開発にはまだ至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
二年目は、無機テンプレートを用いたメソ細孔の多孔性カーボンの合成を行い、放電プラズマプロセスを用いる優位性を模索する。また、ナノカーボンを出発原料に混合することで、得られるカーボンの導電率を向上し、カーボン-硫黄コンポジット正極の性能向上を図る。 カーボン-硫黄コンポジット正極からの硫黄の溶出を抑制する手法については、メソポーラスカーボンの使用と共に、カーボン-硫黄コンポジットのコーティングが有用な手法である。カーボン原料の選択や処理温度の最適化によって、硫黄の溶出量を低減することができる材料開発を試みる。カーボン-硫黄コンポジット中に高粘度な多環芳香族炭化水素が存在する場合に、硫黄溶出の迷路係数が増加し溶出抑制コーティングと同様の効果が発現することが期待できる。多環芳香族炭化水素の複合化による硫黄の溶出抑制効果について検討を行う。
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