2012 Fiscal Year Annual Research Report
連続二次共生に伴う葉緑体ゲノム進化:緑色渦鞭毛藻類を例として
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24870004
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
神川 龍馬 筑波大学, 生命環境系, 特任助教 (40627634)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2013-03-31
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Keywords | 細胞内共生 / 葉緑体置換 / ゲノム進化 / 分子系統解析 |
Research Abstract |
光合成性渦鞭毛藻類は、紅藻類由来葉緑体を有する。しかし、Lepidodinium属渦鞭毛藻類は葉緑体置換により、紅藻類由来葉緑体ではなく緑藻類由来葉緑体を有している。この現象は連続二次共生と呼ばれており、Lepidodinium属渦鞭毛藻類はこれまでに知られている唯一の連続二次共生を行った生物である。本研究では、Lepidodinium属渦鞭毛藻類の葉緑体ゲノム配列を解読し、その進化や起源に迫ることを目的として実験を行った。 Illumina HighSeq 2000によるDNAシーケンス解析により、10個のコンティグからなる約62 kbの葉緑体ゲノム断片を得ることに成功した。ゲノム構造の全体像は不明であるが、本ゲノム断片中には60個のタンパク質コード配列が同定された。2種類のタンパク質コード遺伝子にはグループIIイントロンが挿入されていた。また、同定されたタンパク質コード遺伝子には緑藻類Pedinomonasおよびその近縁種において特異的にコードされる遺伝子が含まれていた。葉緑体ゲノムコードタンパク質配列による大規模データを用いた系統解析によりLepidodinium属葉緑体はPedinomonasの葉緑体と近縁であることが判明した。これは上述遺伝子を共有している事実からも支持される。このことは過去にLepidodinium属渦鞭毛藻類の祖先が、Pedinomonas属の祖先細胞を細胞内共生させ、葉緑体化させたことを強く示唆している。 連続二次共生後のゲノム進化を解明するため、Lepidodinium属葉緑体ゲノムとその起源であるPedinomonas属葉緑体と比較した。その結果、様々な生物の葉緑体ゲノムで保存されている遺伝子のシンテニーはLepidodinium属葉緑体ゲノムにおいて維持されておらず、共生後に大規模なゲノム再編が起きたことを示している。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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