2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24870005
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
蓑田 歩 筑波大学, 生命環境系, 助教 (10597280)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 葉緑体 / 光合成 / 進化 / 紅藻 / 転写因子 / ルビスコ |
Research Abstract |
本研究は、非光合成生物の光合成能の獲得により起こる光合成制御機構の獲得について知ることを目的に、多重共生による種の多様化が顕著な紅色植物系統において、ルビスコ転写活性化因子Ycf30によるルビスコ遺伝子の転写制御機構の推移を調べる。 申請者らは、以前に「Ycf30は、葉緑体内の光合成産物の蓄積をシグナルとして感知して、ルビスコの転写活性化を行なう、葉緑体内シグナル伝達系を形成しており、それは、核のシグナル伝達系からは独立している」というモデルを示した。その検証として、生理学的な実験を進めている。 生理学的実験をするための予備実験として、核のタンパク質合成阻害剤のシクロヘキシミドによる細胞のダメージを調べたところ、培養時の光の強さにより大きく増強されることがわかり、阻害剤の添加による、核のタンパク質合成阻害以外の二次的な影響を除くため実験条件の最適化が必要であることがわかり、それを行った。 また、紅色植物系統の二次共生藻のウェスタンブロットを行い、タンパク質レベルで、Ycf30の存在を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
培養設備など、研究室のセットアップが遅れたため、いくつかの実験が実行できなかった。 25年度は、その遅れを取り戻すために、代謝物解析の委託研究にすることで、紅藻の生理学的実験結果をまとめるべく、研究を進める。 2次共生藻のYcf30遺伝子の同定は、当初、degenerated PCRを計画していたが、共同研究者の大規模遺伝子発現解析の結果を参考にすることで、その同定にかかる時間を大幅に短縮する。
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Strategy for Future Research Activity |
紅藻類の代謝物解析と、一過性の発現系を利用した転写産物量の分析により、葉緑体コードのYcf30タンパク質によるルビスコ遺伝子の転写活性化が、核の転写制御系からの独立していることを検証する。 黄緑色藻のYcf30タンパク質の機能解析を行うことにより、紅色植物系統では、Ycf30によるルビスコの転写制御システムが、次第に核の転写制御系に統合されていくことを検証する。
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