2012 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア機能のレドックス制御:分子基盤から生理応答まで
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24870010
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉田 啓亮 東京工業大学, 資源化学研究所, 助教 (40632310)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 生化学 / 植物生理学 / レドックス / ミトコンドリア / チオレドキシン / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
本研究では、植物ミトコンドリアの様々な生体機能のレドックス制御について、分子基盤から生理機能に至るまで幅広く解明することを目的としている。これまで、レドックス制御に中心的な役割を果たすチオレドキシン(Trx)の、ミトコンドリア内の反応相手候補タンパク質を網羅的に捕捉・同定した(Yoshida et al. 2013 Plant Cell Physiol.)。さらに、そのうちいくつかのタンパク質については生化学的な解析を行い、2つのタンパク質(AOX, IDH)についてはTrx依存的なレドックス制御を受けるタンパク質であることを決定できた。また、Trx標的候補として同定されたMDHについては、実際にはレドックス制御は確認できなかったものの、アデニレートによる酵素活性低下という新奇の活性調節メカニズムを発見した(論文執筆中)。IDHやMDHはクエン酸回路の律速ステップではないかと提案されてきたが、本研究で得られた知見はそれらの酵素の活性調節メカニズムを提示するものである。 また、植物体内でのミトコンドリアのレドックス制御の重要性を探るため、ミトコンドリア局在型Trxの多重変異株を作出した。また、生体内のタンパク質のレドックス状態を可視化する実験系を確立した。次年度、これらの成果を足がかりとして詳細な生理実験を行う。 本研究に関連する成果は、今年度、学術誌Plant and Cell Physiologyに発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生化学実験では、2つのTrx標的候補タンパク質が実際にTrxによるレドックス制御を受けていることを示すことができた。今年度の予定であったレドックス制御に重要なシステイン残基の特定においてはまだ明らかにできていないが、当初計画していなかったアデニレートレベルによる酵素活性調節を発見できた。 生理学実験では、生体内のタンパク質のレドックス状態の可視化とミトコンドリアTrx欠損株の単離に時間を費やしたものの、今年度中に達成することができた。これらの手法を基盤として、次年度にミトコンドリアTrxの重要性について探る。 これらを統合すると、当初の予定通りおおむね順調に研究を進行させることができたと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
生化学実験では、Trx依存的なレドックス制御が確認できたIDHについて、ジスルフィド形成に必要なシステイン残基の特定を行う。具体的にはIDHのシステイン変異体の作成や質量分析を通して研究を進める。また、抗酸化ストレスに関与するPrxを分析対象として加え、Trxとのクロストーク様式を調べる。 生理学実験では、今年度に作出したTrx変異株で、ミトコンドリアのTrx標的タンパク質のレドックス状態がどのように影響を受けているのかを調べる。また、その他の生理パラメータ(成長解析、メタボローム解析等)も調べ、得られる結果を統合してミトコンドリアTrxの生理的意義を考察する。
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