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2012 Fiscal Year Annual Research Report

線虫をモデルとした重金属ストレス感知システムの同定

Research Project

Project/Area Number 24870025
Research InstitutionTokyo Women's Medical University

Principal Investigator

藤木 恒太  東京女子医科大学, 医学部, 助教 (80632504)

Project Period (FY) 2012-08-31 – 2014-03-31
Keywords重金属ストレス / MAPK経路 / セロトニン / 線虫 / 分子生物学
Research Abstract

環境汚染物質のひとつである重金属は、多くの場合生体にとって有害である。そのため、生物は重金属を感知し、それに対する耐性を誘導するシステムを持つ。ストレス応答型MAPキナーゼ経路はそのひとつであり、線虫ではMLK-1 (MAPKKK) → MEK-1 (MAPKK) → KGB-1 (MAPK) から構成されるMAPキナーゼ経路が重金属ストレス応答を担っていることが報告されている。しかし、重金属ストレスがどのよう感知されているのかは未だに不明である。そこで、本研究では線虫C. elegansを用いてMAPキナーゼ経路上流の重金属感知システムを個体レベルで解明することを目的とする。先行研究から、TPA-1とMAX-2が並行してMLK-1を活性化し、さらにTPA-1の上流ではEGL-30及びEGL-8が機能することが分かっている。また、GOA-1がEGL-30を負に制御すること、さらに神経伝達物質セロトニンの前駆体である5-Hydroxytriptophan(5-HT)を合成する酵素CAT-4やセロトニン受容体SER-7がGOA-1と同様にmax-2変異体の重金属感受性を抑圧するという結果を得ている。これらの結果を踏まえ、セロトニンが銅ストレスを感知してKGB-1経路を活性化するという仮説を考えた。しかしながら、CAT-4はセロトニン以外のアミンの合成にも関与するため、セロトニン以外のアミンが関与している可能性も否定できない。そこで、セロトニンが重要であるか検討するため、5-HT からセロトニンを合成する酵素TPH-1の変異体でも、max-2変異体の重金属感受性を抑圧されるか検証した。その結果、TPH-1変異体でもCAT-4の変異体と同様に、max-2変異体の示す重金属感受性が抑圧された。このことにより、セロトニンが重金属耐性において重要であることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本年度は、「研究活動スタート支援」の支援によって、線虫C. elegansを用いた実験を始めるために必要な試薬、実験用具などをそろえ、実験を立ち上げることができた。しかしながら、タイの洪水の影響で予定していた実験器具の納入が遅くなったことや、所属した研究室において線虫を使用する実験が初めてだったこともあり、予定していたよりも実験の立ち上げが遅れてしまった。また、申請者が所属研究所に移動した初年度だったこともあり、講義の準備などにエフォートを費やしてしまい、予定していたように申請した研究にエフォートを費やすことができなかった。

Strategy for Future Research Activity

これまでに、線虫においてセロトニン合成酵素やセロトニン受容体が重金属耐性に関与するという結果を得ている。この結果を踏まえ、セロトニンが銅ストレスを感知して重金属耐性を担うKGB-1経路を活性化する可能性について、以下に示す実験により検討する。
① セロトニンの銅ストレス応答への関与についての遺伝学的検討:申請者は、セロトニン合成酵素TPH-1の変異体がmax-2変異体の示す重金属感受性を抑圧するという結果を得ている。そこで、セロトニンが重金属ストレス耐性に重要であることを確認するため、TPH-1変異体に外部からセロトニンを投与し、重金属感受性の抑圧の表現型がレスキューされるか検討する。
② セロトニンの銅ストレス応答への関与についての生化学的検討:セロトニンがKGB-1経路を制御しているかは定かではない。そこで、抗リン酸化型KGB-1抗体を用いたイムノブロッティングによりKGB-1活性を測定し、セロトニンがKGB-1経路を制御するか検討する。③ 線虫個体内での銅投与依存的なセロトニン及びDHBTの量の変化:培養細胞レベルではセロトニンは銅により酸化され、DHBTに変化することが報告されている。この反応が、線虫個体内でもおきるか調べる目的で、HPLCを用いて銅を与えた線虫と与えない線虫からそれぞれセロトニンとDHBTを検出し、それぞれの量が変化するか検討する。
④ セロトニンの量を感知している組織の同定:哺乳動物では、セロトニンの多くは神経細胞のシナプスで合成されて局在するが、一部はシナプス非依存的な分泌により非神経組織や血液中にも広く分布されることが知られている。線虫でもセロトニン受容体であるSER-7は、神経と腸の両方で発現していることから、銅を感知するセロトニンのシステムが、腸または神経のどちらで機能しているのか遺伝学的な実験で解析する。

  • Research Products

    (1 results)

All Other

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] カドミウム曝露HK-2細胞における転写因子FOXOの機能

    • Author(s)
      藤木恒太
    • Organizer
      第83回日本衛生学会学術総会
    • Place of Presentation
      金沢美術工芸大学

URL: 

Published: 2014-07-24  

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