2012 Fiscal Year Annual Research Report
奄美大島の森林生態系保全‐森林性カエルの保全に配慮した森林管理手法の提言
Project/Area Number |
24880012
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩井 紀子 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (50630638)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 森林保全 / 両生類 / カエル / 森林管理 |
Research Abstract |
奄美大島の森林生態系は希少な生物の生息地として重要であるが、近年、森林伐採、林道開発、外来種の導入、といった人為的な環境改変が、森林性生物の存続を脅かしている。一方で、島の暮らしには森林環境の改変は欠かせない。本研究は、保全指標種として有用である森林性のカエルに着目し、その保全に配慮した森林管理の在り方を提唱することで、奄美大島の森林生態系全体の効果的な保全につなげることを目的としている。特に、人為的な環境改変として複数の項目を扱った総合的な解析を行うこと、および、森林性カエルの保全指標種としての特長を活かすため、幼生と成体という生活史段階別のプロセスを考慮することに留意している。 本年度は、エサ資源の定量を行うための予備調査を行い、粘着トラップによる徘徊性昆虫類調査手法を確立した。また、個体数推定のための標識再捕獲を進めた。再捕獲のデータについては、ラジオテレメトリーのデータと併せることでオットンガエルの行動範囲推定を行い、論文を執筆・投稿した。 さらに、オットンガエルの拇指に関するデータをまとめた論文を発表し、研究対象としているオットンガエルの、保全対象種としての価値を明らかにした。この論文については出版社からのプレスリリースにより、ナショナルジオグラフィック誌をはじめとする各国のネット上で取り上げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初初年度予定であった環境改変の現状とカエルの生息パターンとの関係を明らかにするモデル作成は終了していないが、これに必要なGIS解析による地形変数、林齢に関する変数のデータ収集が終了した。一方で、当初二年目の予定であった、徘徊性動物量の評価に着手し、その方法を確立することができた。また、溜桝利用の幼生生存率を明らかにするため、サンプル採取を行った。 成果発表では、カエルの行動範囲推定について論文投稿、および、対象種の生態についての論文発表を行い、本種の保全対策に有効な知見を提供することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
環境改変の現状とカエルの生息パターンの関係についてのモデル作成のため、最新の解析方法の習得を進める。生物の在情報のみから分布を推定する方法を用いることとし、その方法に習熟した研究者との連携を強める。 影響経路メカニズムの検証においては、昨年度方法を確立した、徘徊性動物量の評価を行う。また、溜桝の利用率、および林道におけるロードキルの実態を明らかにするため、現地調査を続行し、さらに、溜桝における幼生の生存率を明らかにするため、昨年度採取した幼生のサンプルからのDNA抽出、解析を行う。
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Research Products
(2 results)