2012 Fiscal Year Annual Research Report
イエシロアリの病気感染抵抗行動に見られる情報伝達機構
Project/Area Number |
24880019
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
柳川 綾 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (70628700)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 国際学会 / 国内学会 |
Research Abstract |
本研究は、昆虫病原性糸状菌を用いる生物的防除の可能性の追求を目的とし、昆虫の病原微生物感染抵抗システムにおいて知覚―行動がどのようにリンクしているか解明することを目指している。モデル昆虫であるシロアリは、家屋の害虫として駆除を目的に多くの応用研究がなされてきたが、基礎生理学的な面における知覚能力や学習能力はほとんど何もわかっていない。将来的に社会性昆虫を対象とした生物的防除手法を確立することを目指す本研究では、これまで調査されてこなかった知覚と行動をつなぐリンクを明らかにするために、イエシロアリのコミュニケーションによる知覚情報伝達を調査する。 平成24年度の研究成果として、昆虫の病原菌知覚のシグナルの一つである可能性が高い、病原菌由来揮発性物質の同定をGC/MS分析により進めた。その過程で同定された菌由来揮発性物質を用いて行動実験を行ったところ、イエシロアリがきわめて微量な揮発物質まで行動決定の要因として知覚することができることが明らかになった。さらに,透過型電子顕微鏡による家詩をあり触覚上感覚網の観察を続けている。 国内学会としては, 2012年7月に比較生理生化学会、また2013年3月に日本応用動物昆虫学会にて研究成果を発表した。国際学会としては,8月に国際無脊椎動物病理学会(アルゼンチン)のシンポジウムにて招待講演を行った。 たまアウトリサーチ活動として、2012年8月に、LAPAN(インドネシア)にて研究内容を紹介した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究成果として、昆虫の病原菌知覚のシグナルの一つである可能性が高い、病原菌由来揮発性物質の同定をGC/MS分析により進め、その過程で同定された菌由来揮発性物質を用いて行動実験を行ったところ、イエシロアリがきわめて微量な揮発物質まで行動決定の要因として知覚することができることが明らかになり、また各物質に対して、微量濃度の刺激で誘導された反応は忌避や誘因といった相反する行動であった。こうした、予測しない結果を得て、研究に新たな可能性が広がったこと、また、国際学会のシンポジウムに招待されるなど、国際社会の関心を引く発表を続けることができていることから、研究および成果発表の両面で、本課題は順調に発展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の研究成果として、病原菌由来揮発性物質の同定を進め、同定された菌由来揮発性物質に対してイエシロアリがきわめて微量な揮発物質まで行動決定の要因として知覚することができることが明らかになった。この成果を受けて、平成25年度は、情報伝達の仕組みを読みたくための行動実験系を、ショウジョウバエやハチなどを用いて行われている化学物質を使った学習実験系およびゴキブリの行動実験系をモデルに確立したい。 また、ごく微量濃度の揮発性物質に反応することが明らかになったことから、こうしたデータを積み重ね、家屋における木材保存の一環として、菌由来揮発性物質を含む新規材料の開発などを試みたい。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] Odor aversion and pathogen-removal efficiency in grooming behavior of the termite Coptotermes formosanus2012
Author(s)
1) Yanagawa, A., Fujiwara-Tsujii, N., Akino, T., Yoshimura, T., Yanagawa, T. and Shimizu, S.
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Journal Title
PlosOne
Volume: 7
Pages: e47412
DOI
Peer Reviewed
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