2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24880023
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
蝉 克憲 京都大学, iPS細胞研究所, 研究員 (90633058)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 体細胞初期化 / iPS細胞 / DNAメチル化 |
Research Abstract |
理研バイオリソースセンターより、DNAのメチル化制御に関与するシロイヌナズナの遺伝子を購入し、ヒト及び、マウス細胞で強制発現可能なプラスミドベクターの構築を行った。現在、導入遺伝子が哺乳動物細胞内で機能しているかどうか、検討を行っている。 本研究では、エピジェネティクスによる遺伝子発現制御機構の内、特にDNAのメチル化に着目しており、導入した遺伝子がリプログラミングの効率上昇に寄与した場合、DNAのメチル化状態をゲノムワイドに観察する必要があると考えられた。そこで、High-throughputシーケンサーを用いたメチル化解析法の1つであるRRBS(Reduced Representation of Bisulfite Sequence)に着目し、実験系の立ち上げやバイオインフォマティクスによるデータ解析を含めたパイプラインの構築を行った。 また、これまではマウス胎仔由来繊維芽細胞(MEF)からのリプログラミングの検討を行っていたが、細胞内のエピゲノム状態は、細胞種によりそれぞれ異なっていることが知られている。導入した遺伝子が細胞種に関係無く機能することを示すためには、MEF以外の細胞がによる検討が必要である。この点を踏まえ、本研究室で樹立されたドキシサイクリン投与により、初期化4因子 (Oct3/4, Sox2, Klf4, Myc) を強制発現可能なマウスの胎仔から、神経幹細胞の樹立を行い、リプログラミングについて検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
強制発現させた遺伝子により、エピゲノムの改変が行われたことを確認するため、High-throughput sequencerを用いたゲノムワイドなメチル化解析手法であるRRBS(Reduced Representation of Bisulfite Sequence)法、及びクロマチン解析手法であるChIP-seq法の立ち上げを行った。これと並行して、理研バイオリソースセンターより植物遺伝子のcDNAクローンを入手し、幾つかの植物遺伝子についてサブクローニングを行い、iPS細胞樹立効率に関与する遺伝子のスクリーニングを行っている。iPS細胞の樹立効率上昇に寄与する遺伝子の候補は見つかっていないが、エピジェネティクスの観点から体細胞初期化メカニズムの解析を行うための実験系は既に立ち上がっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、前年度に立ち上げた実験系を利用して、引き続き植物遺伝子を用いたエピゲノム改変によるiPS細胞の樹立効率への影響を検討する。効率の上昇が認められた場合には、従来の手法で樹立したiPS細胞やES細胞と差異が認められるかどうかをマイクロアレイを用いた遺伝子発現解析により検討するとともに、体細胞への分化が正常に行われることをキメラマウスの作製を行い確認する。また、樹立過程において、植物遺伝子を強制発現させたことにより変化したエピゲノム変化を同定するため、High-throughput sequencerを用いてゲノムワイドなメチル化解析、及びクロマチン修飾解析を行い、改変されたエピゲノムと体細胞初期化との関連性について検討を行う。さらに、iPS細胞のみならず、他組織の細胞へのダイレクトリプログラミングについても検討を行う。
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