2012 Fiscal Year Annual Research Report
アミノ酸過剰生産誘導性ストレスに対する応答遺伝子の機能解析と応用に向けた基盤構築
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24880028
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
夏目 亮 東京電機大学, 工学部, 准教授 (60637651)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | コリネバクテリウム / グルタミン酸生産 / ストレス応答遺伝子 / プロモータアッセイ |
Research Abstract |
コリネ型細菌Corynebacterium glutamicumにグルタミン酸を過剰に生産させることができる3種類のストレス条件下(ビオチン制限培養、 脂肪酸系界面活性剤Tween40添加培養、ペニシリン添加培養)では、3条件のいずれかにおいて大きく転写量が増大する遺伝子、及びこれら3条件いずれにおいても転写量が増大する遺伝子が計7種類存在する。ストレスに応答するこれら7種類の遺伝子の共通点は、1)50~90アミノ酸残基程度の小さいタンパク質をコードすること、2)コリネバクテリウム属細菌にのみ相同性の高い遺伝子が見出される新奇な遺伝子であること、3)相同遺伝子の機能が明らかに示された例がなく機能未知であること、である。本年度は、7種類の機能未知遺伝子のうち6種類について、それらの機能を調べるために増幅株と欠損株をそれぞれ構築してグルタミン酸過剰生産誘導性ストレスに対する応答性を調べた。増幅株については、いずれの増幅株も対照株との差異は認められなかった。一方、ビオチン制限培養条件下において、3種類の遺伝子破壊株については、対照株に比べ生育が上昇する傾向が認められたが、グルタミン生産性には差異が認められなかった。1種類の遺伝子破壊株については対照株に比べ生育ならびにグルタミン酸生産性の低下傾向が認められた。残り2種類の遺伝子破壊株については、対照株に比べ生育ならびにグルタミン酸生産性の上昇傾向が認められた。また、機能未知遺伝子の非ストレス条件下とストレス条件下における発現状態を比較する目的で、コリネ型細菌におけるプロモーターアッセイ系を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初目標としていた7種類の機能未知遺伝子のうち6種類については、増幅株ならびに破壊株を構築した。アミノ酸過剰生産誘導性ストレスに対する応答性を調べ、増幅株では対照株との差異が認められなかったものの、ビオチン制限培養条件下においては、3種類の遺伝子破壊株では対照株に比べ生育が上昇する傾向があるもののグルタミン酸生産性には差異が認められないこと、1種類の遺伝子破壊株では対照株に比べ生育ならびにグルタミン酸生産性が低下する傾向があること、残り2種類の遺伝子破壊株では生育ならびにグルタミン酸生産性が対照株に比べ上昇する傾向があること、を見出した。また、当初目標どおり、非ストレス条件下とストレス条件下における機能未知遺伝子の発現状態を比較する目的でコリネ型細菌におけるプロモータアッセイ系を構築した。研究活動スタート年度としては、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初目標としていた7種類の機能未知遺伝子について調べるために、未完成になっている1種類の遺伝子についてその増幅株および破壊株を構築し、アミノ酸過剰生産誘導ストレス条件下でのグルタミン酸生産性について調べる。すでに構築した6種類の破壊株について、ビオチン制限培養条件下以外のアミノ酸過剰生産誘導性ストレス条件(Tween40添加培養、ペニシリン添加培養)でのグルタミン酸生産性について調べる。また、当初計画通り、構築したプロモータアッセイ系を用いて、非ストレス条件下とストレス条件下における7種類の機能未知遺伝子の発現状態を比較する。
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