2012 Fiscal Year Annual Research Report
細菌の宿主免疫回避機構の解明と新規ワクチン開発への応用
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24880031
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Research Institution | Nippon Institute for Biological Science |
Principal Investigator |
今井 孝彦 一般財団法人日本生物科学研究所, その他部局等, 研究員 (30633953)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 鶏 / 細菌 / 組換え / 弱毒化 / ワクチン |
Research Abstract |
本研究は、養鶏産業において甚大な被害をもたらす感染症の1つである伝染性コリーザの原因菌であるAvibacterium paragallinarumの宿主免疫回避機構を解明することを目的としている。宿主免疫回避機構に重要な細菌の病原因子を複数同定し、それを欠損した組換え変異体を作製することにより、そのメカニズムを解明する。また、この欠損株は宿主免疫を惹起する能力を保持したまま弱毒化していることが考えられるため、理想的なワクチン候補株となり得る。このワクチン効果についても実際に鶏の病態モデルを用いて検証する。 2012年度は、以下の項目について研究を実施した。(i)野外株の収集:全国で過去に伝染性コリーザが発生した際に保存された菌を収集した。(ii)野外株の免疫原性・病原性の確認:(i)で収集した菌を培養し、鶏に接種することで、その病原性と免疫原性を調べた。これにより、鶏にAvibacterium paragallinarumを感染させ、発症の程度を評価する病態モデルを確立した。また、免疫原性を調べる系として、HI抗体価を測定する評価系を確立した。(iii)遺伝子クローニングと欠損株作出用プラスミド作製:Avibacterium paragallinarumゲノムDNAからPCRにより遺伝子を取得した。(iv)形質転換の検討: 現在までAvibacterium paragallinarumを形質転換したとの報告はない。実際、既存の形質転換方法を試したが、現在のところ形質転換体を得るに至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
野外株の収集や病態モデルの確立、病原性や免疫原性を調べる系の確立など、おおむね当初の研究計画通り研究が進んでいるが、Avibacterium paragallinarumを形質転換することが難しく、遺伝子組換え体を得ることができていない。
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Strategy for Future Research Activity |
効率よくAvibacterium paragallinarumの形質転換を得る手法を確立する。これによりプラスミドを導入できれば、遺伝子欠損株を得られる可能性が高い。遺伝子欠損株を作製した後は、鶏に感染させて病原性や免疫原性を調べる予定である。
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