2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外寄生細菌の細胞内センサーによる認識機構の解明
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24890006
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐伯 歩 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 専門研究員 (70638345)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | インフラマソーム / 口腔レンサ球菌 |
Research Abstract |
本研究では、細胞外寄生細菌である口腔レンサ球菌S. mutans (Sm), S. gordonii (Sg), ならびにS. sanguinis (Ss)がどのようなメカニズムで細胞内センサーnucleotide-binding oligomerization domain 2(NOD2)に認識され、また、どのようなメカニズムでインフラマソームを活性化するのかを明らかにすることを目的とする。HEK293細胞を用いた NF-kBルシフェラーゼ法で、SmならびにSgの野生株、リポタンパク質欠損株は共にNOD2を介してNF-kBを活性化した。このことから口腔レンサ球菌体の構成成分が何らかのメカニズムでHEK293細胞の細胞質に取り込まれ、細胞内のレセプターであるNOD2で認識されていることが示唆された。そこで、細胞内のセンサーであるインフラマソームの活性化を検証した。Sm、SgならびにSsの生菌、熱処理した死菌ならびに菌体培養上清はマウス樹状細胞 (XS-106細胞)からのIL-1bの産生を誘導した。Ssにより誘導されるIL-1bの産生は、クラスリン依存性エンドサイトーシス阻害剤であるクロロプロマジン、アクチン重合阻害剤であるサイトカラシンD、pan-caspase阻害剤であるZ-VAD-FMKならびにcaspase-1と4の阻害剤であるz-YVAD-FMKにより抑制された。XS-106細胞のcaspase-1をRNAiによりノックダウンすると、Ss刺激によるIL-1bの産生は抑制された。さらに、これら口腔レンサ球菌による刺激はXS-106細胞に細胞死を誘導した。これらのことから、口腔レンサ球菌はクラスリン依存的にXS-106細胞の細胞内に取り込まれ、インフラマソームを活性化し、pyroptosisを誘導する耐熱性の菌体構成成分を有していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究で、口腔レンサ球菌はクラスリン依存的にマウス樹状細胞 (XS-106細胞)の細胞内に取り込まれ、インフラマソームを活性化し、pyroptosisを誘導する耐熱性の菌体構成成分を有していることが示唆され、学会発表を行った。今後、より詳細なメカニズムを明らかにしていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
インフラマソーム活性化のメカニズムを明らかにするため、各種 NOD-like receptors(NLRs)をノックダウンし、本活性化に関与している NLRs を調べる。また、ATP、活性酸素や apoptosis signal-regulating kinase 1 の関与を明らかにすることで、口腔レンサ球菌によるインフラマソームの活性化のメカニズムを分子レベルで解明する。 In vivo において、口腔レンサ球菌によるインフラマソームの活性化におけるTLR2 ならびに NOD2 の役割を検証するため、WT マウス、TLR2KO マウスあるいは NOD2KO マウス尾静脈より菌体を投与し、血中における IL-1bの産生の経時的な変化をELISA 法で調べる。
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