2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24890007
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
間石 奈湖 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 特任助教 (00632423)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 転移 / 腫瘍血管 |
Research Abstract |
がんの血行性転移の初期過程では,がん細胞が血管内皮に遊走,接着し,さらには血管内皮間を通り抜けて血管内に侵入する血管内侵入のステップが必須である.がん細胞と腫瘍血管内皮が接触することから,腫瘍血管内皮の特異性が転移の初期ステップに関与するのではないかと考えた.申請者が所属する研究グループでは,腫瘍血管内皮細胞の分離と培養を行い,それらが正常血管内皮と比較して様々な異常性があることを見出してきた.さらには,転移能が異なるがんの微小環境の違いにより,腫瘍血管内皮は遊走能や増殖能,サイトカインの発現量などさまざまな性質の違いがあることを見出し最近報告した.転移能の異なる腫瘍から血管内皮細胞を分離し,それらを用いてがん細胞との相互作用をin vitroおよびin vivoにおいて解析すること,さらに,腫瘍血管の特異性質のうち転移促進に関わる機構を明らかにして,それらを標的としたがん転移の制御を目指すことを目的とした. 【1.in vivoにおける血管内皮細胞のがん転移促進の解析】 1)高転移性腫瘍由来血管内皮細胞 (HM-TEC),低転移性腫瘍由来血管内皮細胞 (LM-TEC),正常皮膚由来血管内皮細胞 (NEC)を分離培養した.2)分離培養した各ECにそれぞれGFP遺伝子導入を行った.3)低転移能のがん細胞にLuciferaseおよびRFP遺伝子を導入した.4)2,3)で作成した細胞を用いて,血管内皮とがん細胞をマウスに皮下移植し,転移の違いを比較した. 【2.高転移性腫瘍内の血管内皮に特異的に発現する分子の同定】 1)これまで見出してきた腫瘍血管内皮細胞マーカーのうち,低転移性腫瘍由来血管内皮に比べ,高転移性腫瘍由来血管内皮に有意に高く発現している分子を複数同定した.2)着目した分子に対し,siRNAによりノックダウンを行い,in vitroで腫瘍細胞と血管内皮の相互作用を解析した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
【1.in vivoにおける血管内皮細胞のがん転移促進の解析】として,1)高転移性腫瘍由来血管内皮細胞 (HM-TEC),低転移性腫瘍由来血管内皮細胞 (LM-TEC),正常皮膚由来血管内皮細胞 (NEC)の分離培養,2)分離培養した各ECへのGFP遺伝子導入,3)低転移能のがん細胞へのLuciferaseおよびRFP遺伝子導入,4)2,3)で作成した細胞を用いたマウス移植in vivo実験は順調に進捗した. 【2.高転移性腫瘍内の血管内皮に特異的に発現する分子の同定】として,1)低転移性腫瘍由来血管内皮に比べ,高転移性腫瘍由来血管内皮に有意に高く発現している分子の同定において,高転移性腫瘍由来の血管内皮細胞で有意に発現が亢進している遺伝子の解析のためにリストアップされた遺伝子が想定以上に多く、すべての解析に更に2ヶ月を要したため、遅延が生じた.2)着目した分子に対するsiRNAノックダウンによるin vitro解析はその後順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
【1.高転移性腫瘍由来血管内皮細胞が発現する分子のがん転移促進に関わるin vivo解析】 高転移性腫瘍由来血管内皮に有意に高く発現している分子に対するshウィルスベクターの遺伝子組み換えを行い,高転移性腫瘍由来血管内皮に遺伝子導入する.それにより,安定してその分子の発現をノックダウンする.ノックダウンを行った腫瘍血管内皮と,Luciferase遺伝子およびRFP遺伝子導入を行った低転移性がん細胞をマウスに共移植し,転移の違いを比較する.解析方法は,Circulating Tumor Cell (CTC) としてRFP陽性細胞をフローサイトメトリーで検出し,CTC数を比較する.また,in vivo imaging装置 (IVIS Spectrum) を用いてLuciferase陽性細胞を検出し,肺転移を評価する. 【2.臨床検体におけるマーカーの発現と転移の検討】 臨床検体において,上記1で転移の違いが認められた腫瘍血管内皮マーカーの発現と転移,患者の予後との関連について病理学的な検索を行う.
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Research Products
(3 results)