2012 Fiscal Year Annual Research Report
神経筋疾患モデルマウスを用いた嚥下障害に関する研究
Project/Area Number |
24890021
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 匡 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (40637964)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 神経筋疾患 / 嚥下障害 |
Research Abstract |
神経筋疾患において、摂食・嚥下障害は大きな問題であり、突然の窒息や誤嚥性肺炎により命を落とすこともある。本研究では神経筋疾患モデルマウスを用いて、嚥下に関わるニューロペプチド等の分布を評価することで嚥下に関わる神経学的な役割を明らかにする。さらに、温度感覚などの各種感覚刺激により良い嚥下機能回復の方法を確立することを目的としている。 本年度は、まず神経筋疾患モデルマウスにおける運動性及び知覚性ニューロンの細胞死を調べた。ワイルドタイプマウスと神経筋疾患モデルマウスに過剰麻酔でと殺し、4%ホルムアルデヒドにて固定し、脊髄、脊髄神経節、迷走舌咽神経節を採取し、凍結切片法にて薄切した。これらの切片にて運動性及び知覚性ニューロンの細胞死を調べるために、TUNEL染色やcaspaseによる免疫染色を行った。ワイルドタイプマウスと神経筋疾患モデルマウスとを比較したところ大きな変化が見られそうな部位と変化があまり見られない部分があった。 また、これらの切片に運動ニューロンに含まれるcholine acetyltransferas、痛みの伝達物質と考えられるsubstance P, calcitonin-gene-related peptideに対する免疫染色を行ったところ、細胞死の多い部分とに相関関係が見られた。 今後、脊髄をの切片にてニューロン周囲のグリア細胞への影響を調べる予定である。さらに、末梢の組織を詳しく解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年は研究目的を達成すべく研究計画にそって行われた。 具体的には、まず神経筋疾患モデルマウスにおける運動性及び知覚性ニューロンの細胞死を調べた。ワイルドタイプマウスと神経筋疾患モデルマウスに過剰麻酔でと殺し、4%ホルムアルデヒドにて固定し、脊髄、脊髄神経節、迷走舌咽神経節を採取し、凍結切片法にて薄切した。これらの切片にて運動性及び知覚性ニューロンの細胞死を調べるために、TUNEL染色やcaspaseによる免疫染色を行った。ワイルドタイプマウスと神経筋疾患モデルマウスとを比較したところ大きな変化が見られそうな部位と変化があまり見られない部分があった。 また、これらの切片に運動ニューロンに含まれるcholine acetyltransferas、痛みの伝達物質と考えられるsubstance P, calcitonin-gene-related peptideに対する免疫染色を行ったところ、細胞死の多い部分とに相関関係が見られた。 今後、脊髄をの切片にてニューロン周囲のグリア細胞への影響を調べる予定である。さらに、末梢の組織を詳しく解析する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果を受け、来年度は脊髄並びに末梢組織を中心に採取し、凍結切片法で薄切する。これらの切片にてニューロン周囲のグリア細胞への影響を調べるために、astrocyteに特異的なマーカーであるGFAP染色やmicrogliaに特異的なマーカーであるIBa-1染色を行う。また幼少期のマウスのグリア細胞は時に判別が困難である場合が想定されるため、GFAP或いはIBa-1染色と核染色に用いられるDAPIとの蛍光二重染色も行 う。 一方、末梢の切片にて、筋委縮の程度を調べるためにHE染色を行い、筋委縮の程度を調べる。また、筋委縮の程度と下記物質とのかかわりを調べるために、痛みの伝達物質と考えられるsubstance P, calcitonin-gene-related peptideやカプサイシン受容体や熱センサーであるvanilloid receptor, vanilloid receptor-like receptor subtype, 触覚・圧覚・固有感覚を伝えるニューロンに含まれるカルシウム結合蛋白であるparvalvumin, calbindin D-28、に対する間接蛍光法による免疫染色を行う。 これらの結果により神経筋疾患モデルマウスの嚥下障害にかかわる筋、神経細胞、神経細胞周囲のグリア細胞との関わりを調べ明らかにすることで、神経学的な役割を明らかにすることを考えている。
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