2012 Fiscal Year Annual Research Report
好中球を介したアナフィラキシー様症状発現機構の解明
Project/Area Number |
24890022
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 志典 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (60637958)
|
Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
|
Keywords | 免疫学 / アナフィラキシー |
Research Abstract |
まず、マウスにリポ多糖 (LPS) と抗好中球モノクローナル抗体 (抗 Ly-6G 抗体) 投与すると補体系活性化が誘導されることを示すために、LPS および抗 Ly-6G 抗体投与後のマウス血球のフローサイトメトリー解析を行った。抗 C1q 抗体により補体 C1q の好中球への沈着の検出を試みたが、これまでのところ補体 C1q の好中球への沈着は検出されていない。今後、実験条件のさらなる検討、また、C3 など他の補体成分の沈着の検出を試みるなどの工夫が必要と考えられる。 次に、LPS と補体 C5a 投与によりマウスに誘導されるアナフィラキシー様ショックに関与する分子・細胞メディエーターの解明を試みた。LPS と C5a 投与により誘導されるショックはヒスタミンに依存し、血小板活性化因子 (PAF) に依存しないことが明らかとなった。また、枯渇実験の結果から、好塩基球の関与が示唆され、好中球の関与は否定された。さらに、肥満細胞欠損 W/Wv マウスを用いたショック誘導実験から、肥満細胞の関与も否定された。 以上から、当初の予想と異なり、LPS と C5a 投与によるショックは LPS と抗 Ly-6G 抗体投与によるショックと機序が全く異なることが明らかとなった。すなわち、LPS と C5a 投与によるショックには好塩基球とヒスタミンが関与し、LPS と抗 Ly-6G 抗体投与によるショックには好中球と PAF と補体 C5 が関与する。本研究はアナフィラキシー症状発現機構に新たな知見を加えるものであり、さらに詳細を追求したいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成 24 年度の研究計画はほぼこなした。ただし、LPS と抗 Ly-6G 抗体投与により誘導されるショック、LPS と補体 C5a 投与により誘導されるショックの発症機序はそれぞれ当初の予想と異なるようであり、実験計画の修正が求められる。
|
Strategy for Future Research Activity |
それぞれのショックについて別々に発症機序を解明することを目指す。LPS と抗 Ly-6G 抗体投与により誘導されるショックに関しては、好中球活性化機構と補体系の役割を明らかにする。LPS と C5a 投与により誘導されるショックに関しては、好塩基球とヒスタミンの役割を明らかにする。
|
Research Products
(4 results)