2012 Fiscal Year Annual Research Report
ジアシルグリセロールキナーゼによる血糖調節機構の解明
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24890027
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
中野 知之 山形大学, 医学部, 助教 (00333948)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | DGK / 糖脂質代謝 / GLUT / PPAR |
Research Abstract |
本研究の目的は、脂質性二次伝達物質代謝酵素であるジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)による血糖調節機構を解明することである。平成24年度は野生型および各種DGK遺伝子欠損(alpha型、epsilon型、zeta型 KO)マウスを用いて絶食および高脂肪食給餌モデルを作製した。その結果、高脂肪食を長期間与えたDGK epsilon KOマウスの肝臓において、野生型に比べて脂肪滴の大幅な増加が認められた。さらに精巣上体周囲脂肪の沈着が著しいことが分かり、DGK epsilon KOマウスは肥満形質を示すことが明らかとなった。この表現型の原因を調べるために血糖・血中脂質代謝関連分子のmRNAおよびタンパク発現変化を解析した。その結果、DGK epsilon KOマウスの肝臓ではglucose transporter (GLUT)4のmRNA発現が野生型に比べて著しく亢進していることが明らかとなった。さらにperoxisome proliferator-activated receptor (PPAR)gammaのタンパクの発現レベルもまた亢進していた。GLUTは細胞内への糖の取り込みに機能し、PPARは脂肪代謝に重要な役割を果たす分子である。両者は機能的にも関連があることから、これらのデータはDGKが糖脂質代謝機構に重要な役割を果たすことを示唆するものであり、平成25年度の実験計画を実施する上で非常に有益である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はDGK遺伝子欠損動物を用いて高血糖負荷モデルを作製し、血糖・血中脂質代謝関連分子の発現を精査することを計画した。本プロジェクトは、前述の研究実績の概要に記したように当初の計画通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の遺伝子欠損マウスを用いた実験の結果、DGKが糖脂肪代謝に関与している可能性は高い。よって今年度はさらに詳細な検討を行うため、細胞培養の実験を行う。まずは遺伝子欠損マウスの肝臓からコラゲナーゼ還流法により初代培養肝細胞を調整する。この細胞に対して、種々のアゴニストやインヒビターを用いた際の糖取り込み能や脂肪滴合成能の差異を検討する。さらに脂肪滴合成過程の詳細に関しても注目する。初代培養細胞の実験がうまくいかない場合は、肝細胞癌細胞であるHuh7細胞や脂肪細胞への分化が可能な3T3L1細胞などを用い、RNAi法によってDGKをノックダウンして同様の実験を行う。
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Research Products
(5 results)