2012 Fiscal Year Annual Research Report
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24890045
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植田 航希 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80632190)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | polycomb / EZH2 / MLL / leukemia |
Research Abstract |
申請前の実験結果において、EZH2阻害薬であるDZNepによってMLL融合遺伝子による白血病(MLL白血病)モデルマウスの生存期間が延長することがわかっていた。この現象には、EZH2阻害によるp16の上昇を介して、白血病幹細胞分画が減少することが寄与していることを明らかにした。また、short hairpin RNAを用いたEZH2のノックダウンでも同様の現象が再現され、p16のノックダウンは、EZH2阻害による抗白血病作用をキャンセルすることを示した。さらに、他の白血病モデルと比較して、MLL白血病で明らかにEZH2阻害薬の治療効果が高いことを示した。この原因を解明するため、クロマチン免疫沈降を行い、MLL白血病やHoxa9-Meis1による白血病モデルでp16プロモーター領域にEZH2が結合しているが、E2A-HLFなどの他の白血病モデルでは結合していないことを明らかにした。 以前から知られているように、一般にp16の発現制御にはポリコーム群遺伝子が関与しているが、これは白血病でも生じていると考えられた。しかし、MLL-ENLおよびHoxa9-Meis1白血病では、他の白血病モデルより強力なポリコーム群遺伝子によるp16の抑制が生じており、その違いがどのように生じるかについて、現在研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、EZH2を中心とするポリコーム群遺伝子によるp16の発現抑制を解除することで、MLL白血病の治療開発につながることを明らかにできた。MLL白血病で特にEZH2によるp16抑制が強い理由を現在解明中であるが、ここまでの成果で複数の学会発表を行うことができた。日本血液学会総会、日本癌学会総会、米国血液学会などで演題発表を行うことができた。 さらに、疑問点として残っているMLL白血病において他の白血病よりEZH2によるp16抑制が強い理由についても、下記のように、解明のめどが立っており、論文投稿準備中である。
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Strategy for Future Research Activity |
MLL白血病において他の白血病よりEZH2によるp16抑制が強い理由の解明が必要である。細胞株での報告であるが、Hoxa9がp16のプロモーターに結合してEZH2をリクルートすることが知られている。MLL白血病において、Hoxa9は他の白血病と比較して数十倍の発現があることがわかっている。また我々の実験でHoxa9-Meis1白血病モデルにおいてもMLL白血病と同様にEZH2阻害による治療効果があることがわかっている。これらを総合して考えると、Hoxa9が上昇している白血病ではp16がポリコーム群遺伝子によって抑制されやすく、したがってEZH2阻害剤による治療効果が高いことが予想される。 今後は、Hoxa9抗体をもちいたクロマチン免疫沈降、p16プロモーターのベクターを用いたレポーターアッセイなどによって、MLL融合蛋白が、Hoxa9のp16プロモーターへの結合を促していることを直接証明することを目標とする。
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Research Products
(3 results)