2012 Fiscal Year Annual Research Report
手術用ロボットに代わる小児内視鏡手術用細径多自由度持針器の開発
Project/Area Number |
24890049
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石丸 哲也 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00633629)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 内視鏡手術 / 術具開発 / 小児 |
Research Abstract |
腹腔鏡手術では,鉗子の自由度が少なく多方向の運針が困難である.また,小児には腹腔内容積が小さいという制約もある.本研究の目的は,小スペース内での多方向運針が要求される高難易度の新生児腹腔鏡手術を容易化する持針器を開発することである. 東京大学大学院工学系研究科光石・杉田研究室と共同開発した新型持針器は,先端部に屈曲1自由度と屈曲部よりも先の長軸周り回転1自由度,把持の1自由度の計3自由度を持ち,鉗子径が3.5mmかつ屈曲部よりも先の長さが15㎜となっている.また操作部は,作成したいくつものプロトタイプを用いてシミュレーター上で医師に縫合動作を行ってもらい,直感的に使える操作部を選定した. 平成24年度は,ドライボックス内に設置した水平面と垂直平面において多方向の運針タスクを医師に課し,既存持針器と比較した有用性評価を行った. 水平面実験においては, 刺入・刺出の正確性および運針時間に関して両持針器間で有意差は認められなかったが,既存持針器の縦方向運針では,臨床で行うと臓器損傷につながると思われる種々の操作が認められ,縦方向運針に関する新型持針器の有用性が示された. 垂直平面実験においては,運針の刺入・刺出の正確性に有意差を認めなかった.運針の深さは全体的に既存持針器の方が深く,運針対象を押し込みながら運針している可能性が考えられた.運針軌道の傾きを比較したところ,左右方向運針において,新型持針器の方が運針面に対してより垂直に運針していた.つまり,新型持針器の方が理想的な運針軌道に近いと考えられた.運針対象を牽引する方向にかかる力を計測したところ,左右方向運針において新型持針器のほうが有意に小さい値であった.よって,新型持針器のほうが組織を損傷する可能性が低いと考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,新型持針器を用いてドライボックス内で,1.水平面における横方向運針と縦方向運針,2.垂直平面における多方向運針を行い,従来型持針器と比較した有用性評価を計画した. 前述の如く,実験は予定通り遂行された.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,新型持針器をin vivo実験で使用して有用性を評価するとともに,滅菌・洗浄性も評価した上で改良を加え,臨床応用を目指していく.
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