2012 Fiscal Year Annual Research Report
訪問看護ステーションの最適な管理方法、および人員体制の探索
Project/Area Number |
24890055
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
成瀬 昂 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90633173)
|
Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
|
Keywords | 訪問看護ステーション / ワークエンゲージメント |
Research Abstract |
日本では、人口の高齢化に伴い、訪問看護の需要が急増すると推計されている。しかし現在、訪問看護ステーションでは、看護職員の人員確保が大きな課題となっている。平成18年の6カ月間で退職者がいたステーションが全体の約4割を占め、新規採用者の募集をしても35%が新規採用できない現状にあった。さらに、訪問看護ステーションの約4割が、訪問看護人員が不足した結果、新規利用者の依頼を断ったことがあると回答していた。訪問看護師の就労継続意思を高め、退職者を減らすような職場環境づくりが重要である。 これまでの研究で、訪問看護ステーションの管理・人員体制が訪問看護師のワークエンゲージメントに関連することを示してきた。しかし、ワークエンゲージメントの向上に効果的な訪問看護ステーションの管理・人員体制の具体的な内容、およびその理論的背景は明らかになっていない。他方では、より多い看護師がチームを組むことで安定的にサービスを提供できるようになることを目標として、ステーションの大規模化をすすめる政策が進められている。 平成24年度は、文献レビュー、および訪問看護ステーション管理者を対象にヒアリングを行い、訪問看護ステーションの管理・人員体制そのものを体系的に整理した。さらに、訪問看護師のワークエンゲージメントの向上につながる訪問看護師ステーションの管理・人員体制について仮説理論を設計した。 その結果、訪問看護ステーションの管理・人員体制が訪問看護師のワークエンゲージメントに関連する媒介変数としてRelational coordination(職員間の協働関係)があることが考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度は、当初の予定通り、訪問看護ステーションの管理・人員体制の体系的整理を行うことが出来た。また、訪問看護ステーションの管理・人員体制が訪問看護師のワークエンゲージメントに関連する媒介変数としてRelational coordination(職員間の協働関係)があるという仮説理論の設計にも到達することが出来た。 調査研究を行うフィールドは、全国から九州の1県に変更した。これは、研究者が自ら足を運べる範囲を調査対象にし、調査で得る情報を充実させることを目的にしている。その結果、フィールドとの交渉に時間を要しており、質問紙調査の時期が当初の予定より半年遅れることとなった。しかし、これは研究目的に合致する変更であるため、大幅な遅れとは考えていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
文献レビュー、ヒアリングから設定した仮説理論を確認するため、訪問看護師を対象に自記式質問紙調査を行う。 また、調査を行う県内でフィールド調査(地区踏査)を行い、訪問看護ステーションが設置されている地域の地区特性(交通・気候・医療資源の密度等)の情報を解析データに追加する。さらに、訪問看護師が最も頻繁に協働する専門職の1つである居宅介護支援専門を対象に「訪問看護師とのrelational coordination」に関する調査を行う。これは、訪問看護師のrelational coordinationを高めるための具体的示唆を得ることを目的とする。 訪問看護師、居宅介護支援専門員への調査と、地区踏査の結果を統合し、地域特性に特異的な訪問看護ステーションの管理・人員体制の改善策を示す。
|