2012 Fiscal Year Annual Research Report
TALを用いたサイトカイン遺伝子の発現調節機構の解明
Project/Area Number |
24890056
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
松島 隆英 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 特任助教 (40636560)
|
Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
|
Keywords | 炎症 / サイトカイン / ChIP / TAL |
Research Abstract |
生体内において免疫応答は微生物を代表とする体外異物への防御反応である。また免疫応答に付随し、生体内では血管拡張や血管透過性の亢進、腫脹や疼痛が引き起こされる「炎症応答」が起こる。免疫・炎症応答の制御破綻は様々な疾患に関与しており、炎症応答の制御機構解明は炎症疾患の新規治療法の開発に繋がる可能性がある。炎症応答の制御に中心的な役割を持つ分子として免疫系細胞から分泌されるサイトカインが存在するが、その遺伝子発現調節機構には未知の部分が多く残されている。 本研究ではTranscription Activator-Like protein (TAL)を利用したTargeted Chromatin IPによりサイトカインの遺伝子発現制御に関わる転写因子群を網羅的にプロテオソーム解析できる手法を確立し、その技術を利用することで炎症応答の制御機構の解明を目指す。平成24年度においてはIL-12のサブユニットであるp40の上流遺伝子配列に結合するTranscription Activator-Like protein (TAL)コンストラクトを作製し、ヒト単球系培養細胞に遺伝子導入し、安定発現株の作製を行った。その結果、作製したTALは複数のリピート配列は持つために安定発現株では遺伝子組み換えによって全長TALがほぼ認められないことがわかった。またこのコンストラクトを使用し、Chromatin IPも行ったが特異的な遺伝子配列の回収は認められなかった。そこでTAL自身のコンストラクトのデザインを再考するべきであると判断し、サイレンス変異を入れることでリピート配列の影響を減らした改変型TALを作製した。改変型TALは確かに安定発現株において全長の発現が確認されており、今後はこの改変型のTALを用いてChromatin IPの条件検討を進める。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の目的では平成24年度にIL-12のサブユニットであるp40の上流遺伝子配列に結合するTALを作製する予定であったが、作製したTALは複数のリピート配列は持つために安定発現株では遺伝子組み換えによって全長TALがほぼ認められないことが明らかとなった。そのため平成24年度はTAL自身のコンストラクトのデザインの再考を行い、改変型TALの作製を進めた。作製した改変型TALを再度ヒト単球系培養細胞に遺伝子導入し、安定発現株の作製を行った。改変型TALは確かに安定発現株において全長TALの発現が確認されており、今後はこの改変型TALを用いてp40の上流遺伝子配列特異的に結合するTALを作製し、Chromatin IPなどの条件検討を進める。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度に作製した改変型TALを用いて任意の遺伝子配列に結合するTALの作製を進める。解析対象とする炎症応答性サイトカイン遺伝子としては、特に炎症においてTh1細胞の分化に必須であるIL-12のサブユニットであるp40、および抗炎症性サイトカインであるTGF-betaに着目して解析を進める。 作製したTALコンストラクト・ライブラリーそれぞれを培養細胞、初代培養免疫細胞に遺伝子導入を行い、IL-12、TGF-betaの発現への影響を確認した上で、実際にChromatin IPと同様な手法を用いてタグ抗体によってTALとTALが結合しているDNA配列近辺のゲノムと転写因子群を免疫沈降法にて回収、SDS-PAGE、マス・スペクトル解析を用いて転写因子群の同定を行っていく。また同時にTALを用いたシステムをエンハンサー領域の解析に利用できないかChip-seqなどを利用して検討を行う。
|