2012 Fiscal Year Annual Research Report
インスリン抵抗性獲得における尿酸の寄与とその分子機序解明
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24890073
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
小森 久和 金沢大学, 薬学系, 助教 (00634180)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 糖尿病 / 尿酸 / 輸送体 |
Research Abstract |
高尿酸血症は2型糖尿病を合併しやすいことで知られ、それらは相互に病態の進展に関与していると考えられているがその相関機構は詳しく解明されていない。これら病態の悪循環を理解するためには、それぞれの病態から他方の病態を進展する機序を両面から検討する必要があると考られる。そこで、今年度は糖尿病によって血清尿酸値を上昇させる機序を検討した。 まず、腎近位尿細管での尿酸再吸収モデル細胞として樹立した尿酸輸送体URAT1及びURATv1発現MDCKII細胞(イヌ腎臓尿細管上皮細胞)を用いて尿酸の細胞透過性を評価したところ、インスリン処理によって尿酸透過は有意に増加した。また、その増加はグルコースを枯渇することによって抑制された。また、インスリン非存在下ではグルコース濃度を0-100 mMで変化させても尿酸透過性に影響が見られなかったことから、インスリンは解糖系を亢進することで尿酸の透過性を増大させていることが示唆された。また、内因的にURATv1及びインスリンレセプターを発現するHEK293細胞(ヒト胎児腎臓細胞)にURAT1をトランスフェクションして尿酸の取り込みを評価した結果、尿酸の取り込みはインスリン処理により増大し、グルコース枯渇によって抑制された。さらにインスリンによる尿酸取り込み増大は解糖系阻害剤2-deoxy-glucose存在下では処抑制された。これらの結果より、インスリンは解糖系を亢進することで尿酸の再吸収を促進し、血清尿酸値を上昇させる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は尿酸がインスリン抵抗性を惹起する機序を明らかにすることを目的としていたが、高尿酸血症と2型糖尿病は相互に病態の悪循環を引き起こすと考えられていることから、それぞれの病態が互いに他方の病態を引き起こすことを明らかにする必要があると考えた。そこで、まずはインスリンの上昇が高尿酸血症を引き起こす機序の検討を行ったため、当初の計画よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は申請時の計画にあった尿酸によっインスリン抵抗性が誘導される機構を検討する。また、インスリン抵抗性はメタボリックシンドロームと高い相関を示す。尿酸は慢性炎症や酸化ストレスを惹起することで高血圧及び肥満を引き起こすことが報告されていることから、尿酸にるメタボリックシンドロームを介したインスリン抵抗性誘導機構も考慮した計画をする必要もあると考えられる。
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Research Products
(5 results)