2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞接着分子による精子形成調節の分子ネットワークの解明
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24890074
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
仲田 浩規 金沢大学, 医学系, 助教 (80638304)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 精巣 / 精子形成 / 細胞接着分子 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
細胞接着分子を介した造精細胞とセルトリ細胞の相互作用は精子形成に重要な役割を持つ。特に、造精細胞に発現する細胞接着分子Cadm1は精子形成に必須である。Cadm1が造精細胞に及ぼす作用の細胞内分子機構は分かっていないが、蛋白質のリン酸化によるシグナル伝達機構の存在が示唆されている。最近我々は、Cadm1と結合するアダプター蛋白質としてMpp6を見いだした。そこで本研究では、Cadm1とMpp6の造精細胞内での相互作用についてCadm1を含む細胞接着分子のKOマウスを用いて解析するとともに、Cadm1-Mpp6を介した細胞内分子のリン酸化を解析し、さらにMpp6と細胞内で相互作用する分子を同定して、Cadm1によるシグナル伝達機構を明らかにし、これにより、細胞接着分子による精子形成調節の分子ネットワークを解明することを目的とした。 本年度はMpp6のGST融合蛋白質を抗原として、ラット抗体作製法(当研究室で安価で迅速な抗体作成法として確立済、Acta Histochem Cytochem 39,79,2006)により抗体を作製し、Westernブロット法および免疫組織化学により精巣における発現と局在を明らかにした。精子形成でのMpp6の役割を検討するために、野生型マウスだけでなくMpp6と相互作用するCadm1 KOマウスとMpp6と相互作用しない細胞接着分子Nectin-3 KOマウスの精巣を用いて解析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Mpp6のGST融合蛋白質を抗原として、ラット抗体作製法により抗体を作製し、Westernブロット法および免疫組織化学により精巣における発現と局在を明らかにした。精子形成でのMpp6の役割を検討するために、野生型マウスだけでなくMpp6と相互作用するCadm1 KOマウスとMpp6と相互作用しない細胞接着分子Nectin-3 KOマウスの精巣を用いて解析した。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度作製したMpp6抗体を使い、免疫沈降により、Mpp6と相互作用する細胞内蛋白質の同定を行う。野生型マ ウスの精巣の蛋白質を可溶化(可溶化分画)する。この可溶化分画と抗Mpp6抗体を反応させて免疫沈降を行う。対 照として正常ラットIgGを用いる。抗Mpp6抗体でのみ免疫沈降される蛋白質のバンドをSDS-PAGEと銀染色で見い だす。免疫沈降により得られたバンドを比較検討し、選別されたバンドのペプチダーゼ消化とMALDI TOF/TOFに よるMS/MS解析によりペプチドの配列を決め、蛋白質を同定する。質量分析 は、本学学際科学実験センター遺伝子実験部門に受託研究として依頼する。 Mpp6 と相互反応する分子のGST融合蛋白質を抗原として、ラット抗体作製法により抗体を作製する。この抗体を用いた免疫沈降 とウェスタンブロットにより、野生型マウス精巣において確認する。また野生型マウス、Cadm1 KOマウスおよび 他の細胞接着分子KOマウスの精巣におけるこの分子の発現と局在を調べ、Cadm1の有無によるこの分子の挙動の 変化を解析する。 Mpp6 と相互反応する分子が同定されてもなお造精細胞におけるCadm1の下流にあるシグナル伝達経路の全容が 解明できない場合は、さらにこの分子と相互反応する分子を免疫沈降法やGST融合蛋白質によるpull-down法で探索することを繰り返す。
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Research Products
(1 results)