2012 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症におけるミトコンドリア異常とオートファジー
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24890089
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
森田 善方 滋賀医科大学, 医学部, 医員 (40636130)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 腎臓病学 / 糖尿病性腎症 / オートファジー |
Research Abstract |
2型糖尿病モデルマウスと同様に、1型糖尿病モデルマウスにおいても糸球体上皮細胞におけるオートファジー活性が低下しているかどうかを検討するため、GFP-LC3マウスにSTZ誘発1 型糖尿病モデルを作成し、電子顕微鏡にて糸球体上皮細胞におけるオートファゴソームの観察を行ったところ、1型糖尿病モデルにおいても糸球体上皮細胞におけるオートファジー活性が低下していることを確認した。 そこで、糖尿病状態における糸球体上皮細胞でのオートファジーの欠損が、糸球体上皮細胞の形態ならびに機能におよぼす影響を検討するため、オートファゴソーム形成に必須なオートファジー関連蛋白の一つであるAtg5の 腎糸球体上皮細胞特異的欠損マウスを作製するため、Atg5 floxマウスならびにタモキシフェン誘導型糸球体上皮細胞特異的Cre 発現マウスをそれぞれ交配中である。今後両マウスの交配により、タモキシフェン誘導型糸球体上皮細胞特異的Atg5ノックアウトマウスを作成予定である。 培養マウス糸球体上皮細胞株を用いて糖尿病状態におけるどのような変化(高血糖、高脂肪酸血症、各種アディポサイトカイン分泌異常)がオートファジー活性の減弱に寄与しているかを検討したところ、高糖濃度刺激、飽和脂肪酸であるパルミチン酸刺激により、オートファジー活性が低下することをGFP-LC3 アッセイならびにLC3-IIの蛋白発現量により確認した。現在、mTOR経路、AMPK経路、SIRT1経路といった各種栄養関連シグナルの活性化薬、阻害薬を用いて、各経路の関与を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当研究室には、過去に研究実績のある優秀な研究者が多数在籍しており、研究を進める際の助言を得ることができ、実際の進捗状況に関して毎週開かれる研究カンファレンスにて適宜修正を加えながら実験を進めることが可能な環境が整っているため、本研究はおおむね順調に進展している。 また、研究協力者として研究代表者の実験をサポート、補完する人員として実験助手が数名在籍しており、適宜助力を得ながら研究を進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
Atg5 floxマウスとタモキシフェン誘導型糸球体上皮細胞特異的Cre 発現マウスの交配によりタモキシフェン誘導型糸球体上皮細胞特異的Atg5ノックアウトマウスを作製し、この遺伝子改変マウスならびにワイルドタイプマウスに対して、高脂肪食負荷2型糖尿病モデル、STZ誘発1型糖尿病モデルによる糸球体病変を誘発し、糸球体上皮細胞特異的なオートファジー抑制が糸球体病変に及ぼす影響を検討する。評価項目としては尿中アルブミン排泄量の定量、組織障害評価、単離糸球体での線維化・炎症マーカー、電子顕微鏡による上皮細胞形態異常・ミトコンドリア形態異常、小胞体ストレスの増加を検討する。 さらに、培養マウス糸球体上皮細胞株を用いて糖尿病状態における各種条件下(高血糖、高脂肪酸血症、各種アディポサイトカイン分泌異常)においてオートファジー活性の減弱と糸球体上皮細胞障害(Slit膜関連蛋白発現異常、アポトーシス)との関わりを検討する。
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