2012 Fiscal Year Annual Research Report
京都市における蚊媒介性感染症発生時の安全・安心の強化:社会対応による蚊防除の提案
Project/Area Number |
24890092
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉川 みな子 京都大学, グローバル生存学大学院連携ユニット, 助教 (70636646)
|
Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
|
Keywords | 社会医学 / 感染症 / ウイルス / 昆虫 / リスクコミュニケーション |
Research Abstract |
平成24年度には、医科学おび社会科学分野の先行・関連文献の調査を重点的に行い、東南アジア地域における現地調査を行うとともに、関連性の強い国内学会・研究会(5回)・国際学会・会議(5回)の参加を通じて、他国における対応事例および本症の情報収集を行った。とくにシンガポール環境庁との意見交換(8月、11月、1月)を通じて、同庁が主導している産・官・民による蚊防除への取り組み内容の詳細を得て、資料を入手することが出来た。 8~9月にかけて10日間にわたって世界保健機関とシンガポール外務省、環境庁、タントクセン病院らが共催したデング熱・出血熱対策の研修プログラムには、日本から唯一の参加者として受講を認められ、各国の研究者と情報交換を行いながら、同症の最新状況および媒介蚊の薬剤耐性の知見を得て、成虫・幼虫の種属同定方法、蚊の体内のデングウイルスの有無の検査方法などの技術を習得することが出来た。加えて、媒介蚊防除方法および人々の行動にインパクトを与えられる手法として定着しつつあるCOMBIに関する各国の進捗状況の把握も行った。これらはいずれも、京都市に有益な手法や情報と考えられるので、どのように京都市に応用できるのか次年度に検討すべき事項であると確認した。 11月にはこのCOMBI実施国であるインドネシアにおいて保健省を訪問し、最新の国レベルの症例数の動向および世界でも有数の観光地であるバリ島における症例動向について聞き取り調査を行った。2010年の大流行を受けて導入した媒介蚊対策の試みについて、バリ島での臨地情報収集が望ましいと判断した。 国内においては国立感染症研究所による輸入症例に関する最新動向および国内における教育普及の試みについて情報収集し、京都市衛生環境研究所のヒトスジシマカ捕獲調査の結果に関する報告会にも参加した。シンガポールにおける調査の中間報告を10月と3月に行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1度に3週間の期間を連続して臨地調査にあてることが6月に異動後困難な状況が続いているため、次年度と分けて数回行うことにした。そのため、シンガポールにおける民間企業と住民組織の調査がやや遅れている。 その一方、国際会議とワークショップにおける各国の蚊防除の取り組みに関する情報収集および本研究に関連する文献の収集・調査が当初の計画以上に進展しており、総合的におおむね順調に進展している、と判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
シンガポール環境庁との意見交換を続けながら、シンガポールにおける調査を続行し、インドネシアおよび京都市内における調査も追加的に行う。9月以降シンガポール環境庁の研究者を招聘して京都市内の防除戦略について意見交換および講演会を行う計画であるが、平成25年5月現在、同国では主流の血清型の移行によるものと考えられる症例数急増の傾向が認められ、大流行が危惧されていることが懸念材料である。流行に対応するためにシンガポール環境庁の研究者が来日できなくなった場合には、ほかの研究者を招聘するあるいは、開催地および講演会のテーマを変更するなどして対応する計画である。
|