2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24890111
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 浩靖 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00631201)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | アディポカイン / 動脈硬化 / 炎症 |
Research Abstract |
メタボリックシンドロームの病態の根源をなす組織は脂肪組織と考えられ、近年では脂肪組織は単なるエネルギー貯蔵臓器ではなく、分泌タンパクである「アディポカイン」を放出する内分泌臓器として位置づけられるようになっている。このアディポカインが各種臓器に作用し、糖・脂質代謝、動脈硬化等の病態に大きな役割を果たすことが証明されてきた。従って、これらアディポカインの量を制御したり、その作用機序を明らかにしたりすることは、メタボリックシンドロームにより惹起される動脈硬化性疾患の治療や予防に役立つ。 アディポカインとして、腸管と内臓脂肪で産生されるオメンチンに着目した。我々は、血清中のオメンチン濃度が虚血性心疾患患者で低下していること、動脈硬化発症モデルマウスにオメンチンを投与することにより、動脈硬化性病変の発症・進展が抑制されることを報告してきた。本研究では、オメンチン産生能を有するヒト結腸ガン細胞株Caco-2細胞を、糖・代謝に関係する様々な因子で刺激した際のオメンチンmRNA発現を定量リアルタイムPCR法により評価し、オメンチンmRNAを正・負に制御する因子を同定した。 さらに、アディポカインの作用を調節する分子は、タンパク同士の結合を介して相互に作用することが予想されるため、結合タンパクの同定を試みた。本研究では、アディポカインに対する抗体を用いた免疫沈降法→SDS-PAGE→銀染色→質量分析、という方法を用い、試料には各種細胞の溶解液のみならず、細胞培養液、ヒト血清などの液性因子を使用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究ではアディポカインの機能調節メカニズムの解析を2つの側面から検討しているが、両方とも平成25年度に行う予定であった基礎実験の結果が初年度に得られており、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
I : アディポカインの発現調節の解明 各種アディポカインのうちオメンチンについて、有意なmRNA発現変化を認める各種薬剤刺激を同定し得たため、次にそのプロモーター配列を有するレポーターベクターを作製し、レポーター・アッセイを行う。様々なプロモーター長、あるいは様々な変異を有するレポーターベクターを用いた結果から、刺激に反応する部位を同定する。また、この刺激を調整する薬剤などを検討していく。 II : 各種アディポカインの生理的機能の検討 同定されたアディポカイン結合タンパクとアディポカインの結合をin vitroの系で再確認する。結合が確認できた分子について、各種変異体のアディポカイン結合能の相違から結合部位を同定する。さらに、 細胞間接着などのアディポカイン結合タンパクの有する生理的機能に与えるアディポカインの影響を調べる。
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