2012 Fiscal Year Annual Research Report
転移性腎細胞癌における診断、治療選択に有用なバイオマーカーの開発
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24890116
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
植村 元秀 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (40631015)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 腎細胞癌 / マイクロアレイ / マイクロRNA / 上皮間葉転換 |
Research Abstract |
当院で2010年7月から2012年8月の間に当院にて手術を施行した9例に対し、正常腎および腎癌組織のマイクロアレイ解析を行った。腎癌組織特異的に発現上昇を認めたマイクロRNAを同定し、その機能解析を行った。同定されたマイクロRNAのうち、miR-629に注目した。臨床検体23例を用い、Real time PCRで定量することで正常腎に比べて腎癌組織では3.90倍(1.84~12.4倍)(p<0.001)に発現上昇していた。miR-629を高発現している腎癌細胞株であるCaki-2を用い、miR-629阻害剤で細胞遊走能抑制効果を認めた。マイクロRNA関連のdatabaseを用いてmiR-629の標的候補の一つにSmad4を抑制するTrim33が予測された。miR-629阻害剤によりTrim33の発現の上昇を認め、ルシフェラーゼアッセイにより、Trim33が標的遺伝子であることを確認した。更に、miR-629阻害剤により形態学的により上皮に近い形態に変化したことから上皮間葉転換への関与が示唆され、また、miR-629阻害剤によりE-cadherinの発現は上昇し、N-cadherinの発現が減少していることが確認された。正常腎に比べ腎癌部にてmiR-629が上昇していた。miR-629は細胞遊走能を促進し、Trim33の機能を抑制することによりSmad4の機能を亢進させていた。更に、miR-629は上皮間葉転換にも関連していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
腎細胞癌特異的に高発現する多くのマイクロRNAのうち、上皮間葉転換に寄与していると考えれるものをすでに同定し、機能解析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
残った特異的に高発現するマイクロRNAを興味深いものから順次、機能解析することもできるし、阻害剤を用いた新規核酸治療薬としての開発も可能であると考えている。
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