2012 Fiscal Year Annual Research Report
紫外線による象牙質の強化深度の確定と疲労破壊抵抗性の評価
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24890119
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古谷 優 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (20635411)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 歯学 / 象牙質 / コラーゲン / 機械的強度 / 分子間結合 |
Research Abstract |
失活歯の歯根破折は, 歯科臨床において解決すべき重要な課題である。申請者らの研究グループは, 紫外線を用いることで象牙質の機械的強度が飛躍的に向上することを発見し, この知見をもとに失活歯の破折防止のための歯の強化法の開発に取り組んでいる。本研究課題では,生体に対し比較的安全領域である365nmの紫外線照射によって象牙質の曲げ強さが向上する事象に着目し, 紫外線による強化効果の及ぶ深度を明らかにすると同時に,口腔環境を想定し,紫外線による象牙質の破壊抵抗性の変化を評価することを目的としている。24年度に計画した,紫外線照射によるコラーゲンの分子構造変化について核磁気共鳴法を用いて検索を行なった。タイプIコラーゲンのモデルペプチドとしてプロリンーグリシンーグリシンの5量体に紫外線照射を行なったところ,170ppm付近のプロリンのイミド環の二重結合に相当する部位と思われるところでのピークの変化が認められた。また,30ppm付近でもピークのシフトが認められ, 水分子を介した結合や新たな水素結合が生じていることが分かった。以上のことから紫外線が象牙質コラーゲンに作用し新たな分子間結合を形成することで強化効果を示したことが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
24年度の実施計画のうち, 核磁気共鳴法を用いての紫外線照射によるコラーゲン分子構造変化の検索については予定通り進んでいるが,原子間力顕微鏡を用いたナノインデンテーションによる強化効果影響範囲の測定については計測が遅れているため,次年度も継続して行なっていく。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度も研究実施計画に基づき研究を遂行し, 24年度の研究計画のうち実施が遅れているナノインデンテーションを中心に実験を追加して行なう予定である。
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