2012 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼嚥下時の顎位に関与する末梢性ならびに中枢性神経機構の解明
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24890124
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡 綾香 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (20635403)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 咀嚼 / 嚥下 / 孤束核 / 末梢 / 中枢 / 神経機構 |
Research Abstract |
本研究は、嚥下運動における顎位(顎運動)を制御している末梢性および中枢性の神経機構を、斬新な視点からの動物実験で明らかにし、咀嚼嚥下機能の回復をめざす口腔治療に有益な情報を提供することを目的としたものである。孤束核に存在する開口筋運動前ニューロンと閉口筋運動前ニューロンへの、一次求心性神経からの入力様式の解明を平成24年度の課題とし、また大脳皮質からの入力様式を平成25年度の課題とした。平成24年度は、ラットを用いて、運動核への逆行性トレーサーの注入で標識した孤束核に存在する開口筋および閉口筋運動前ニューロンと、咽頭などの粘膜に分布する一次求心神経に越神経節トレーサーを取り込ませて標識した軸索終末とのコンタクトを検索し、入力様態を解明した。開口筋運動前ニューロンおよび閉口筋運動ニューロンの存在部位は多くの研究で記されているが、孤束核に多く存在することを示しているのは私たちのグループのみであり、この点で本研究の独創性は極めて高い。開口状態で嚥下することが困難なことは日常経験する所である。しかし、この嚥下の開始時に必要な顎位(顎運動)の制御に関わる神経機構に着目した研究はほとんどない。本実験によって、孤束核に存在する開口筋または閉口筋運動前ニューロンと一次求心性神経の終末とが作るコンタクトの分布を調べたことで、嚥下時の顎位置(顎運動)を決定している末梢性の神経機構の一つが解明された。開口状態では嚥下の開始は難しく、閉口して舌骨が顎方向に挙上され固定される事が嚥下の開始に必要なことはよく知られた事実であるが、それに関与する神経機構が明らかになれば、この分野の研究者ばかりでなく臨床家にとっても、極めて有益な情報となると考えられる。本研究結果については、現在、論文投稿準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画のとおり実験を遂行することができ、期待通りの結果を得ることができた。 結果について、Neuroscience2012で、ポスター発表を行った。現在、平成24年度の結果について論文作成中である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の結果について論文にまとめ、投稿予定である。 論文投稿と並行して、平成25年度の課題である孤束核に存在する開口筋運動前ニューロンと閉口筋運 動前ニューロンへの大脳皮質からの入力様式を動物実験で明らかにする。
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