2012 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎症における糸球体内皮細胞内インスリンシグナルの働き
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24890148
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
美馬 晶 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (00432401)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | インスリンシグナル / 血管内皮細胞 / 糖尿病性腎症 |
Research Abstract |
平成24年度の概要 血管内皮特異的IRS1発現トランスジェニックマウス(EC-IRS1Tg)の確立;血管内皮特異的プロモーターには従来から知られているTie-1, Tie-2, eNOS, PECAM-1, P-selectinなどがあげられるがこれらのプロモーターは血球系細胞や平滑筋細胞にも発現することが明らかになっている。そこで申請者は血管内皮発現特異性が非常に高いVE-cadherinプロモーターを使用し、ヒトIRS1cDNAを組み込むことでtransgeneを作成した。培養糸球体内皮細胞に作成したtransgeneを過剰発現し、IRS1の発現を確認したところmock vectorをtransfectした細胞に比べてRNAレベル、蛋白レベル共、著明にIRS1が増加していた。また、作成したtransgeneを過剰発現した培養糸球体内皮細胞におけるインスリンシグナル(pAkt,peNOS)をSDS-PAGE,ウェスタンブロッティングで確認したところ、mock vectorをtransfectした細胞におけるインスリンシグナルに比べてそれらは著明に亢進していた。今後、確立するEC-IRS1 TgにおけるIRS1の臓器別発現確認を行う。さらに、本マウスをストレプトゾトシンで糖尿病に誘導、あるいは高脂肪食を与え、その後アルブミン尿の計測、腎病変の検討を行う。これらの実験で腎糸球体内皮細胞におけるIRS1の腎保護作用を示す予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度内に、作成したEC-IRS1 transgeneの機能解析を行うことができた。つまりEC-cadherinプロモーターを用いることで従来用いられていた、血管内皮特異的プロモーターであるTie-1, Tie-2, eNOS, PECAM-1, P-selectinなどに比べてより血管内皮特異的に目的遺伝子を発現することが可能になったことは画期的である。さらに、マイクロビーズとICAM-1抗体複合体を用いることでラット糸球体からプライマリー培養糸球体内皮細胞を確立することができた。この細胞に作成したtransgeneを過剰発現させてIRS1の発現を培養糸球体内皮細胞において確認した。さらに、EC-IRS1 transgeneはインスリンシグナル(pAkt,peNOS)を培養糸球体内皮細胞内で上昇させるという機能も明らかにした。これらのことから来年度以降に確立するEC-IRS1 Tgにおける糸球体内皮細胞内インスリンシグナルの働きと腎保護作用が明らかになることが期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の目標 ①EC-IRS1 Tgによる腎保護作用;確立したEC-IRS1 TgにおけるIRS1の臓器別発現確認を行う。さらに、本マウスをストレプトゾトシンで糖尿病に誘導、あるいは高脂肪食を与え、その後アルブミン尿の計測、腎病変の検討を行う。これらの実験で腎糸球体内皮細胞におけるIRS1の腎保護作用を示す予定である②糖尿病性心血管合併症への応用;糖尿病を合併した透析患者が閉塞性動脈硬化症、足壊疽を来しやすいことが知られている。糖尿病性心血管合併症に対する効果的な治療方法を確立する必要が急務である。EC-IRS1 Tgによる下肢虚血モデルを作成、虚血からの回復過程メカニズムを分子レベルで検討する。さらに、冠動脈結紮モデルや腎動脈結紮モデルを検討することで、血管内皮インスリンシグナル増強による様々な虚血性心血管合併症の治療方法を確立することを目指す。共同研究者のグループは血管内皮細胞特異的インスリンレセプターノックアウトマウス、Apo eノックアウトマウスとの交配によるダブルノックアウトマウスが通常のApo eノックアウトマウスに比べ著明な動脈硬化を呈することを示している。このことは血管内皮局所におけるインスリンシグナル異常が動脈硬化進展に寄与することを意味し、申請者のEC-IRS1 Tgが動脈硬化を軽減する可能性を示唆する。③ヒト腎生検組織におけるIRS1発現とインスリンシグナルの検討;糖尿病ラットモデルにおいて糸球体内IRS1の発現がコントロールラットに比して低下していることを示しているが、さらに糖尿病性腎症患者の腎生検組織を用いてIRS1の発現とインスリンシグナルを確認する。実際のヒト腎臓病にてこれらの程度とアルブミン尿、糸球体硬化といった腎機能悪化因子との関連を検討する。
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Research Products
(7 results)