2012 Fiscal Year Annual Research Report
ファゴソーム形成、成熟過程における細胞内情報伝達と形態変化の相互的解析
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24890154
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
川合 克久 香川大学, 医学部, 助教 (80534510)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | ファゴサイトーシス / シグナル伝達 / 脂質 |
Research Abstract |
病原菌やアポトーシス細胞の食細胞による貪食(ファゴサイトーシス)は、生体防御や発生において非常に重要である。本研究課題では、異なる貪食ターゲット受容体を介した細胞内情報伝達活性化と、それに伴う形態的、機能的に異なる貪食小胞(ファゴソーム)の形成、成熟過程の相関関係を、多色蛍光イブセルイメージング解析等を用いて明らかにすることを目的として研究を行った。上記のイメージング解析を行うためには、様々な貪食ターゲットを安定的にファゴサイトーシスする実験系が必要となる。そこで、本年度では、まず、マクロファージ由来の培養細胞であるRAW264細胞を用いた安定的な貪食実験の確立を行った。その結果、RAW264細胞に各種シグナル伝達マーカーを安定的に導入し、各種貪食ターゲットをファゴサイトーシスさせることができた。この実験系を用い、これまでにファゴサイトーシスに関与することが知られている小胞輸送を担う分子のRab35について、各種貪食ターゲットによるファゴソームへの局在性の違いについて調べた。その結果、酵母由来Zymosan粒子(TLR2介在性自然免疫貪食モデル)、C3オプソニン化したZymozan粒子(補体受容体介在貪食モデル)、IgGコートしたラテックスビーズ(Fc受容体介在貪食モデル)では、カップの形成時およびファゴソーム成熟時にRab35の局在が見られたが、非コートのラッテクスビーズ(アポトーシス細胞の貪食モデル)では、Rab35はカップおよびファゴソームに局在しなかった。さらに、Rab35の阻害実験から、Rab35が非コートのラッテクスビーズの取り込みには関与しないことが明らかとなった。このような、異なる貪食ターゲットのファゴサイトーシスによる分子的メカニズムの違いは、様々な感染症や自己免疫疾患といった免疫異常の分子メカニズムの解明につながる成果となることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マクロファージ由来の培養細胞RAW264細胞への安定的な遺伝子導入および様々な貪食ターゲットに対するファゴサイトーシスの実験系の確立に時間を費やしたため、ファゴソーム形成時におけるシグナル分子マーカーの局在の解析およびファゴソームの形態的解析に至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
RAW264細胞への各種貪食ターゲットのファゴサイトーシスの確立した条件において、準備した各種シグナル伝達マーカーのファゴサイトーシス時の局在解析およびファゴソームの形態的解析を進めていく。とくに、ファゴソームの成熟過程の局所的な形態的変化に注目して解析を行う。
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