2012 Fiscal Year Annual Research Report
Helicobacter属菌胆道感染と胆道発癌との関連の検討
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24890166
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
小坂 太一郎 長崎大学, 大学病院, 助教 (00437881)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | Helicobacter / 小児 / 胆道発癌 / Helicobacter bilis |
Research Abstract |
●当科で手術を施行する胆道良悪性疾患の胆道、胆汁検体に対し、PCR法を用いHellicobacter属を検出し、その陽性率との関連を検討する。胆嚢、胆管検体の全域に鏡検法によるHelicobacter属の感染像の検索を行う。微好気性環境下に胆汁、胆道組織から組織培養を行い、Helicobacter属の分離を試みる。また、胆道検体に対する免疫組織化学染色を施行し、胆道上皮への免疫組織学的影響を検討する。現時点では20例の検体を術中に採取した。これらに対しPCRによる検討を行い、胆道Helicobacter属菌の陽性率を検討中である。 以後は下記の項目に関しても検討を行っていく予定。・ Helicobacter属菌の培養至適環境である微好気性環境下37℃で、培地条件を模索しながら、採取した胆汁、胆嚢、胆管検体の組織培養によるHelicobacter属分離を試みる。・上記の検索よりHelicobacter属感染の有無を決定し、各群で感染率を検討する。・免疫組織化学染色(IL-6、IL-8、cox2、iNOS)をあわせて行い、Helicobacter属菌感染の胆道上皮への影響について検討する。 ・血液生化学所見、組織学的所見などについても合わせて検討する。 ●現在まで、Helicobacter属の胆道感染モデルは確立されていない。今回私達はシリアンハムスターを用いて胆道感染モデル作成を試み、その後Helicobacter属感染の胆道への影響を検討する。現在までにハムスターモデルの作成に成功した。コントロール群では陽性率20%程度に対し、菌液投与モデルでは68%の陽性率となっている
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
手術検体数は予想より少ない傾向にあるが、臨床検体の検討によりHelicobacter bilisにおいては胆道癌症例、発癌高リスク疾患症例において検出率が高い傾向にあることを証明した。また、モデル確立実験においては菌液経口投与モデルにおいて胆道検体から高いHelicobacter bilis検出率を得られている。以上より共におおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は感染モデルを用いた発癌予防のin vivo実験を中心に研究を進める予定。 感染モデルの除菌1) H.pyloriの除菌療法を参考として、検討対象とする薬剤を選択。2) in vitroでH.bilis ,H.hepaticusの薬剤感受性を検討する。3) 感染モデルに投薬を行い、一定期間後に除菌されていることを確認し、除菌群、非除菌群について、発癌の抑制、炎症性変化H.bilis, H.hepaticusを経口的に接種、その後の感染獲得の有無、感染経路などを確認する。や細胞増殖活性への影響など詳細に比較検討を行う。4) 2)、3)の結果を踏まえたうえで、胃十二指腸潰瘍に対するH.pylori除菌療法施行例を対象に疫学調査を行い、胆道疾患、特に胆道発癌の発症率について検討を行う また、以下の検討でHelicobacter属菌胆道感染の経路の検討を行いたい。Helicobacter属菌DNAの接種モデル1) H.bilis, H.hepaticus DNA溶液の開腹下胆嚢内注入、経口的胃内注入、腹腔内注入を行う。2) 3ヶ月、6ヶ月、12ヶ月後に犠牲死させて胆道組織を採取し胆道上皮の組織学的変化を評価する。さらにPCNA染色などを用いて胆道上皮の細胞増殖活性を検討する。
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