2012 Fiscal Year Annual Research Report
幹細胞関連分子ヌクレオステミンの口腔扁平上皮癌における機能解析と新規治療法の開発
Project/Area Number |
24890173
|
Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
吉田 遼司 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (10632458)
|
Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
|
Keywords | 癌幹細胞 |
Research Abstract |
本研究では癌幹細胞関連分子ヌクレオステミン(以下、NS)に焦点を当て、口腔扁平上皮癌(以下、OSCC)におけるNSの役割を解明するとともに、新たな診断・治療法を開発することを目的とした。平成24年度は以下の項目について研究を進め、結果を得た。 OSCC における NSの発現とその臨床的意義の解析:免疫組織化学染色を用いて正常組織、上皮異形成、浸潤癌の原発巣でのNS 発現様式を検討し、NS陽性率が悪性度と相関することを確認した。更に、NSが高発現しているOSCC患者群では有意に腫瘍体積とリンパ節転移率が高く、予後も不良であることを見出した。 NSの発現変動が OSCC の進展に及ぼす影響とその分子機構の解析: NS応答性にGFPを発現するレトロウイルスベクターによる強制発現系を用い、 GFPでモニター可能なNSの安定的強制発現OSCC細胞株を樹立した。このことで多くの項目において幅広い安定した解析が可能となった。in vitroにおいて、前述の方法で樹立した複数のNS高発現細胞株において浸潤能、増殖能が親株に比べて有意に高いことを見出した。また、表現系の変化から重要と考えられた細胞内外関連因子をタンパク質・遺伝子レベル両面で解析し興味深い結果を得た。一方でNSの発現が比較的高いOSCC細胞株のNS発現を抑制し、上記の解析で得られた表現系の変化が可逆的なものであるかどうかを検討した。その結果、NS強制発現OSCC細胞株で得られた結果を裏付ける変化が認められ、NS強制発現に伴う悪性形質の変化が可逆的なものであることを確認した。 以上に記した研究成果は、ある程度の知見の蓄積をその都度まとめる形で、それぞれ第65回日本口腔科学会学術集会、第36回日本頭頸部癌学会、第71回 日本癌学会学術総会において発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機能解析に必要なNS強制発現OSCC細胞株の樹立に成功し、すでに複数の細胞株を保有するに至っている。また複数のNS高発現OSCC細胞株を用いた機能解析も順調に進んでいる。OSCC臨床検体においてもNS発現量と臨床像との密接な関係が示唆されており、これまでの研究成果はほぼ誌上発表に耐えうる内容であると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、前年度に機能解析で得られた結果が実際のOSCCの臨床像を反映しているかどうかを、ヒト OSCC 検体(組織、血液など)や 免疫不全マウスを用いた移植実験といったin vivo 実験で更に詳しく検討・確認する予定である。また、これまでに得られた研究成果を積極的に誌上発表していく予定である。
|
Research Products
(1 results)