2012 Fiscal Year Annual Research Report
口腔癌における転移の早期診断マーカーの同定および解析
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24890175
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
田中 拓也 熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (30631767)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 転移マーカー / マイクロアレイ |
Research Abstract |
口腔扁平上皮癌は,患者のQOLと生命を脅かす重大な疾患です。初診時には約30% の患者においてリンパ節転移がみられ,リンパ節転移の存在は患者の予後と強く相関していると報告されている(Beenken et al.Head Neck, 1999. 21(2): p.124-30)。したがって、OSCCの転移に関わる重要な分子経路を解明することは、腫瘍の悪性形質に関わるメカニズムの解明につながり、患者の生存率を向上させる効果的な治療法の開発のために極めて重要であると考える。一方、転移のメカニズムを詳細に理解するためには、癌のタイプごとにヒトの転移プロセスと類似した動態を示すモデルの存在が不可欠である。そこで、申請者は、GFPを導入した口腔扁平上皮癌細胞株を用いて高転移株・肺転移株を樹立することに成功した。 申請者が樹立した高転移株を用いて新たに転移能増強に関わる分子に関してマイクロアレイ解析を行ったところ、高転移株では、分子A、肺転移株では、分子Bの発現が著しく上昇していることが確認できた。そこで、大変興味深い事には、分子A 、分子Bの発現上昇は生命予後の悪化に強く関連しているとの報告がある。しかし口腔癌において、いまだ転移と予後との相関を示唆する報告はない。以上より、現在マイクロアレイで高発現上昇をみとめる分子を口腔扁平上皮癌患者におけるリンパ節転移に関する予測、あるいは診断マーカーとして使用できるか、また分子標的とする革新的な癌治療法開発につなげるこができるか解明中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1)口腔扁平上皮癌 における分子A、分子Bの発現とその臨床的意義の解析および検討 2)口腔扁平上皮癌における分子A、分子Bの発現解析 1)に関しての達成度:口腔扁平上皮癌の臨床検体を転移のあるグループと転移のないグループに分けて分子A、分子Bを免疫組織学的染色を行い、その発現を検討している。抗体の種類の検討は、終わり条件を設定しているがまだ、なかなか上手くいかない状況にある。また検体で遠隔転移をおこした症例数が少なく検体選びに現在検討中である。 2)に関しての達成度:PCR法においては、分子A、分子Bともに発現において有意な差をしめした。ウエスタンブロッティング法においては、条件設定の段階で現在進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫染色の条件は、同大学内に同じ分子の染色経験者がいるためコンタクトをとり解決していこうと考えている。それでも困難な場合は、抗体の選択わ再度検討する予定である 。臨床検体に関しては、他の施設との共同研究でできる可能性があり今後また、進めていく予定である。ウエスタンブロッティング法に関してももうしばらく条件を変えながら試適条件を見つけていく予定である。
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