2012 Fiscal Year Annual Research Report
動脈硬化促進因子受容体への結合蛋白に着目した動脈硬化抑制療法の検討
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24890189
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
池谷 裕子 横浜市立大学, 附属病院, 指導診療医 (60453049)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / 脂質 / 循環器・高血圧 / 生体分子 / トランスレーショナルリサーチ |
Research Abstract |
組織局所でのレニン-アンジオテンシン系(R-A 系)のAT1 受容体系の過剰活性化は動脈硬化性疾患の発症・進展に深く関与している.本研究では,動脈硬化を増悪させる1 型アンジオテンシンII(Ang II)受容体(AT1受容体)に結合する低分子蛋白(AT1 receptor-associated protein; ATRAP)に焦点を当てて,分子生物学的・発生工学的手法によるATRAP 発現制御細胞・動物を用いてのATRAP による動脈硬化の改善効果の分子機序について解析するとともに,重症動脈硬化症に対するLDL アフェレシス療法による長期的動脈硬化改善の分子機序へのATRAP の関与についての解析も行い,組織・細胞でのATRAP制御を介した,重症動脈硬化性疾患に対する新規分子標的治療法開発の可能性について検討した.1) 発生工学的手法を用いた全身性・血管特異的ATRAP 過剰発現モデルおよびATRAP 欠損モデルでの動脈硬化病態の検討では,発生工学的ATRAP 発現制御マウスを用いて,圧負荷,Ang II 負荷,高食塩食負荷,高脂肪食負荷,カフによる血管障害負荷などの病的刺激 を加え,動脈硬化性病変の発症・進展に与える影響について検討した.2) 重症動脈硬化症に対するLDL アフェレシス療法による長期的動脈硬化改善の分子機序へのATRAP の関与についての検討では,本先進医療の対象を維持血液透析中の従来治療抵抗性閉塞性動脈硬化症患者に限定した上で,デキストラン硫酸カラムを用 いたLDL アフェレシスによる内皮細胞活性化療法を以下の条件をすべて満たす場合に,説明と患者の文書同意取得後に施行した.そして,LDL アフェレシスの長期的な治療効果について血管機能を解析するとともに,患者白血球での遺伝子発現解析やin vitro の培養細胞レベルでの検討を行い,新規知見を報告した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
組織局所でのレニン-アンジオテンシン系(R-A系)のAT1受容体系の過剰活性化は動脈硬化性疾患の発症・進展に深く関与しており,動脈硬化性疾患の発症・進展において,Ang II=動脈硬化増悪因子,AT1受容体=動脈硬化増悪因子受容体として捉えることができる.研究代表者らは,これまでにAT1受容体に直接結合する低分子蛋白(AT1 receptor-associated protein; ATRAP)は,細胞や組織表面に存在するAT1受容体の細胞内取り込み(internalization)を持続的に促進し,AT1受容体情報伝達系に対して抑制的に作用し動脈硬化性疾患を改善できる可能性を明らかにした.その結果を受けて,国内外の学術学会および国内外の学術雑誌に研究成果を発表している.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では,研究協力者の横浜市立大学医学部・附属病院教員2名および横浜市立大学医学研究科大学院生1名による協力のもと,『AT1受容体情報伝達系の病的刺激による過剰活性化に対する内在性抑制機序を担う受容体結合分子』として機能している可能性があるATRAPに着目して,以下の検討を行う.(1) 発生工学的手法を用いた全身性・血管特異的ATRAP過剰発現モデルおよびATRAP欠損モデルでの動脈硬化の病態の検討,(2) 重症動脈硬化症に対するLDLアフェレシス療法による長期的動脈硬化改善の分子機序へのATRAPの関与についての検討.
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[Journal Article] What can we expect from the binding characteristics of azilsartan, a newly available angiotensin II blocker, in hypertension?2013
Author(s)
Tamura K, Ohsawa M, Kanaoka T, Maeda A, Azushima K, Uneda K, Wakui H, Azuma K, Tsurumi-Ikeya Y, Umemura S
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Journal Title
Hypertens Res
Volume: 36
Pages: 107-108
DOI
Peer Reviewed
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