2012 Fiscal Year Annual Research Report
吸入麻酔薬の脳神経毒性に対する、マンニトール―エリスロポエチンの神経保護効果
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24890190
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
前島 英恵 横浜市立大学, 附属病院, 指導診療医 (80638172)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 吸入麻酔薬 / アポトーシス / 幼若動物 / エリスロポエチン / 海馬 |
Research Abstract |
平成24年度は、海馬におけるアポトーシスの増加に対する、エリスロポエチンの予防的作用の検討と、マンニトール併用投与によるエリスロポエチンの脳神経細胞内への取り込み増加と神経保護作用の増強を検討するために、生後7日齢のWistarラットを用い、イソフルレン・笑気麻酔モデルを作成した。あらかじめ、50- 500U/bodyのヒト遺伝子組み換えエリスロポエチンの腹腔内投与、また、25%マンニトール5mL/kgの併用投与を行ったのちに、イソフルレン・笑気麻酔を行ったモデルを作成している。麻酔は、恒温槽およびカプノグラムおよび直腸用温度センサーを用い、酸素 2L・笑気 4L・イソフルラン 0.95%の混合ガスで灌流し、自発呼吸下で 6 時間曝露させた。 これらのラットについて、麻酔終了直後、および8時間後、24時間後に、イソフルレン投与下において断頭し、迅速に前頭葉皮質および海馬の凍結検体を採取した。これらの検体についてはホモジネートを作成し、ELISA法およびウェスタンブロッティング法を用いて、細胞保護にかかわるEpo/Epo-R/HSP27の定量と、細胞傷害のマーカーであるCaspase3の半定量を行う予定である。 また、同様のタイミングで、イソフルレン投与下において断頭し、迅速に海馬および海馬周辺皮質のパラホルムアルデヒド固定検体を採取している。パラホルムアルデヒド固定検体については、クライオスタット法を用いて、皮質および海馬の冠状断の薄切り切片を作成した。本教室で用いているTUNEL染色キットに適切な厚さが6μmであることを確かめたうえで、TUNEL染色およびイメージングを行った。これらのデータについては現在解析中である。 また、本研究の成果の一部は、「臨床麻酔」誌の総説「小児脳障害とエリスロポエチン」内で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成24年度の計画にあげた、エリスロポエチン・マンニトール併用投与後ラットについて、前頭葉皮質および海馬の凍結検体は採取済みであるが、細胞保護にかかわるEpo/Epo-R/HSP27のELISA法による定量は平成25年度に持ち越している。また、ウェスタンブロッティングによる細胞傷害のマーカーであるCaspase3の半定量も、平成25年度に持ち越している。また、作成した海馬標本の冠状断薄切片のTUNEL染色は、イメージングまで行っているが、データについては解析中である。このように、平成24年度の実験計画については、やや遅れ気味の進捗状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、計画にあげた通り、細胞保護にかかわるEpo/Epo-R/HSP27のELISA法による定量は平成25年度に持ち越している。また、ウェスタンブロッティングによる細胞傷害のマーカーであるCaspase3の半定量を行う予定である。これらについては、本研究室でこれまでにも実施されている実験であり、そのノウハウが利用できる。また、海馬標本の冠状断薄切片のTUNEL染色についてデータの解析を行う予定である。また、これらの生化学的検討に引き続き、抑制性回避学習試験(Inhibitory Avoidance test)などの行動学的検討を行う予定である。
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