2012 Fiscal Year Annual Research Report
p300/GATA4のプロテオミクス解析による新規心筋細胞肥大反応制御因子の探索
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24890191
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
砂川 陽一 静岡県立大学, 薬学部, 研究支援員 (30466297)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | p300 / 心肥大 / RbAp48 / RbAp46 / GATA4 |
Research Abstract |
高血圧、心筋梗塞などを起因として分泌される液性因子による刺激は最終的に心筋細胞核に到達し、核内において何らかの転写調節因子が活性化されることにより心筋細胞はその遺伝子発現パターンを変化させ、心筋細胞の肥大を引き起こす。この際、HAT活性を有する p300がGATA4転写因子群と協調的に作用し、心不全発症における遺伝子発現調節に極めて重要であることを我々は報告している。そこで、更なるp300/GATA4経路の活性制御機構解明の為に、これらの結合タンパクとの肥大反応制御機構について解析を行った。 (1)GATA4結合因子として同定したRbAp48/46はp300とGATA4との結合を競合的に阻害し、HDAC1/2をGATA4へリクルートすることでGATA4の脱アセチル化、肥大反応因子の転写活性の抑制を誘導すること、またp300のHAT活性には影響を与えないことが判明した。(2)またRbAp48/46をノックダウンさせるとp300/GATA4の結合が増強・GATA4のアセチル化や肥大反応因子の転写活性化が誘導された。(3)PMA刺激や活性型MEK1によってGATA4のリン酸化を誘導するとGATA4とRbAp48/46との結合能が減少し、p300/GATA4複合体の形成が増強された。この反応はリン酸化能を欠失した変異型GATA4やMEK1阻害剤PD98059によって抑制された。 以上より新たなp300結合因子であるRbAp48/46が心肥大反応においてp300/GATA4複合体を制御していることが示唆された。現在、RbAp48/46や新たなp300結合因子の更なる解析を進めており、新たな心不全治療のターゲットとなる因子を模索している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GATA4結合因子の解析は概ね順調に行うことが出来ているが、新たなp300結合因子のプロテオミクス解析に関しては難航している。問題点としてはp300は想定される分子量が約260kDaと巨大な核タンパクで不安定であることから、心臓組織からの精製・結合タンパクの単離が非常に困難を極めることである。今後心臓組織からの核タンパクの精製方法を条件設定することで問題点に対処していきたい
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Strategy for Future Research Activity |
(1)これまでの研究によってGATA4結合因子であるRbAp48/46はGATA4の105番目のセリンのリン酸化によってGATA4との結合能が制御されていることが示唆された。このリン酸化はMEK1/ERK経路によって行われており、p300とは異なるGATA4の制御経路である。またRbAp48/46はp300によるGATA4の脱アセチル化を誘導することから、GATA4のリン酸化、アセチル化による制御機構にRbAp48/46が密接に関与していることが考えられる。今後実際の心筋細胞肥大反応時や心肥大モデル動物においてRbAp48/46がどのようにGATA4を制御しているのか検討していく。 (2)p300TGマウスの心臓を摘出、核タンパク質を抽出し、抗FLAG抗体によるアフィニティー精製を行うことで心臓特異的なp300結合タンパク質を獲得する。次にこれをペプチターゼ処理し、LC-LC/MS-MSにて分離・解析、データベース検索を行うことでp300結合タンパク質を同定する。これによってp300の上流・下流の調節因子および心不全治療のターゲット因子を模索する。
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Research Products
(9 results)