2012 Fiscal Year Annual Research Report
人工心肺手術における血栓形成メカニズムの解明と、新規モニタリング装置への応用
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24890200
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
小川 覚 京都府立医科大学, 医学部附属病院, 専攻医 (50636131)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | フローチャンバー / 血小板 / 人工心肺手術 |
Research Abstract |
人工心肺に伴う血液希釈、および一時的低体温による血小板血栓形成能への関連が、健常人血液を使用した希釈モデルから示唆された。コラーゲン上に形成された血栓のvideo-microscopeによる観察では、血小板粘着能よりも凝集過程が大きく阻害され、血栓強度が低下していることが確認できた。血液希釈率を増加させると、それに伴い血管内を流れる赤血球数も低下する。そのため、通常時に比較して、赤血球が血管壁に衝突することで発生するズリ応力が減少していると考えられる。現在までの研究結果から、血液希釈時の血小板数の低下と赤血球成分の低下は、相乗的に血栓形成能を低下させていることが推測できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
希釈モデルを使用したフローチャンバー実験では、良好な再現性を確認しているが、その結果をより多面的な解釈をおこなうため、他の手法による血小板機能検査(光透過法、トロンボエラストメトリ、等)を進行中である。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度で得られた実験結果をもとに、次年度は実際の患者血液を用いて、人工心肺が血小板機能に与える影響をin vivoモデルとして証明・確認する。さらには、術後出血量と関連すると予想される人工心肺離脱後のT-TAS測定値以外に、人工心肺時間、フィブリノーゲン値、トロンボエラストメトリー測定値、血小板数、患者特性などの因子を重回帰分析で多変量解析し、T-TAS測定値を含めた術後出血量の予測式を作成する予定としている。
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