2012 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病の開示・非開示の意思決定に関する研究~意思決定支援プログラムの開発にむけて
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24890205
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
南村 二美代 大阪府立大学, 看護学部, 助教 (00634015)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 看護学 / 糖尿病 / 疾病開示 / 意思決定 / セルフマネジメント |
Research Abstract |
わが国における糖尿病は増加傾向にある。糖尿病の重症合併症の予防、QOLの低下を防ぐためには、良好な血糖コントロールを目指したセルフマネジメントが必要である。糖尿病の疾病の開示、非開示の選択はセルフマネジメント行動に影響する要因の一つとして重要と考える。しかしながら、わが国には、糖尿病の開示・非開示に着目した研究は少なく、その意思決定プロセスの実態や影響因子、患者の満足との関連は明らかではない。 本研究は、わが国の糖尿病患者の疾病開示・非開示の意思決定プロセスの実態とClairら(2003)の概念モデルに基づき、糖尿病の開示・非開示と個人的な差異、意思決定後の満足やHbA1c値などとの関連を明らかにし、糖尿病の開示・非開示の意思決定に関する看護支援について検討することを目的とする。本年度の計画は本研究を実施するための準備段階として、本研究で使用する質問紙の作成と倫理審査委員会の承認を得ることである。そこで、糖尿病の開示・非開示に関する意思決定のプロセスやメリット、デメリット、意思決定後の満足などについて文献等を検討し、本研究用に使用するオリジナル質問紙を作成した。最終的に、質問紙は「人口統計学的変数:年齢、性別、職業、同居家族数、配偶者の有無」「患者特性:糖尿病の種類(1型・2型)、罹病年数、合併症の有無、治療内容(食事療法のみ、経口糖尿病薬、インスリン注射の有無)」「BMI(身長・体重)」「HbA1c値(研究依頼時)」「糖尿病開示・非開示の意思決定に関するオリジナル質問項目」「 意思決定後の自己満足度に関するオリジナル質問項目」「 意思決定後に生じた問題や葛藤等に関するオリジナル質問項目」からなる。同時に、臨床での調査にむけて、所属機関での倫理審査委員会の手続きを行った。その結果、倫理審査委員会の承認が得られた。今年度の成果をもとに、次年度の計画を展開する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
所属機関の倫理審査委員会の承認は得られたが、研究協力施設における倫理審査委員会が本年度2~3月に開催されなかったため、予定よりやや遅れている。現在、研究協力施設の倫理審査委員会における手続きの最中である。しかし、他はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、研究施設の倫理審査委員会の承認を得て、実際に臨床において自記式質問紙調査のプレテストを行う。質問紙の問題点などを修正その後、質問紙調査(本テスト)を施行する。20歳~65歳の外来通院中の糖尿病患者100名程度を研究対象とする。対象者の条件としては、さらに質問紙に自分で記入可能な者、担当医が本研究の参加に対し心身上の問題がないと判断し、重度貧血や腎不全がない者で、患者本人の同意が得られた者とする。データ収集は昨年度実施を依頼している近畿周辺の病院・医院の2ヵ所で実施する。実施時には十分に倫理的配慮を行う。研究者(原則的には研究者、場合により研究補助者)は、担当医師から患者の紹介を受け、外来診療後の待ち時間に、研究対象者に対し、研究の目的と内容等について説明、口頭・文書で同意を得た者に対し、無記名の質問紙を配布、後日郵送にて回収する。収集したデータより、わが国における糖尿病患者の糖尿病の開示・非開示の意思決定に関する実態を明らかにし、Clairら(2003)の概念モデルに基づき、開示・非開示の割合や傾向と患者個人の個人的差異、自己満足度、血糖コントロール(HbA1c値)等の関連を統計的に分析する。 最終的に本研究の結果をまとめ、今後の支援プログラム開発にむけて課題を抽出し、検討する。 【研究が進まないときの対応】 研究が計画通りに進まない場合、大阪府立大学療養支援看護学慢性看護学分野籏持知恵子教授、同大学慢性看護学分野藪下八重准教授や、協力を依頼する研究施設の糖尿病専門医でもある公立山城病院院長中埜孝治医師、糖尿病の専門家(専門看護師、糖尿病療養指導師)、統計的手法等については大阪教育大学教育学部教養学科健康生活科学講座山川正信教授に必要に応じて協力を依頼し、スーパーバイズを受ける。
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