2012 Fiscal Year Annual Research Report
非アルコール性脂肪性肝疾患の発症・進展におけるスカベンジャー受容体発現細胞の意義
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24890207
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
伊倉 義弘 和歌山県立医科大学, 医学部, 非常勤講師 (00240953)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 非アルコール性脂肪性肝疾患 / 診断基準 / マロリー・デンク小体 / ユビキチン |
Research Abstract |
動脈硬化性疾患との疾患背景の類似性から、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、特に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)進展機序には、マクロファージ・ スカベンジャー受容体が重要な役割を担っていると考えられる。その関与を明らかにするため、タンパク・転写物の組織局在同定を軸に本研究プロジェクトを立案した。具体的にはKupffer細胞および活性化星細胞におけるスカベンジャー受容体の発現が、炎症性サイトカインや増殖因子をメディエイターとした炎症性・線維化プロセスに如何なる影響を与えうるのかについて、ヒトNASH/NAFLD病理検体を対象とした検討を計画した。 NASH/NAFLDについては、その病態・病理機序のみならず、疾患概念についても十分なコンセンサスが確立されているとは言い難く、ごく最近、本研究開始の直後に国際的な診断基準の見直しがあった。そのため本研究の検討対象として予め選出していた症例に、診断の見直しを強いられたが、その過程で診断ツールとして肝細胞内のユビキチン陽性凝集物の存在が有用であることを明らかにすることが出来た。NASHの診断には、小葉中心性の大滴性脂肪化に加えて風船様変性を示す傷害肝細胞の出現が必須となっているが、これを同定することが症例によっては困難な場合があり、風船様変性に伴って傷害肝細胞内にしばしば形成されるユビキチン陽性凝集体の検出が補助的所見として病理診断にきわめて有益であった。 以上の検討により得られた所見を、繰越研究費用を活用しデータのブラッシュアップを行った上で、国内外の学会や医学雑誌上に発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請以降に国際的な非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)診断基準の見直しが行われ、収集サンプルの再検討とサンプルの追加を余儀なくされたものの、予想されたよりも早くに研究遂行に必要なサンプル数を確保出来、遅れを取り戻すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
計画2年目の研究内容を予定通りに進める。ただし免疫組織化学的手法による検討を優先し、確実に結果を得られるようにアレンジする。
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Research Products
(6 results)