2012 Fiscal Year Annual Research Report
膵癌におけるMUC16,mesothelinによる浸潤能促進メカニズムの解析
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24890208
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
清水 敦史 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (00637910)
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Project Period (FY) |
2012-08-31 – 2014-03-31
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Keywords | 膵癌新規治療標的分子 |
Research Abstract |
当科ではこれまでに10種類の膵癌細胞株(PANC1, PK1, PK8, PK9, CfPAC1, BxPC3, Capan-1, Capan-2, MIAPaCa2, AsPC1)においてRT-PCR, Western blotting, 免疫細胞染を行い,膵癌細胞株におけるMUC16/mesothelin発現を解析した結果,PK9, CfPAC1はMUC16, mesothelinともにRNAおよび蛋白レベルにおいて高発現することを確認した。そのため,この2種の膵癌細胞株に対してshRNAを用いてリポフェクタミン法にてまずMUC16単独,mesothelin単独抑制膵癌細胞株を作成した。さらにそれぞれをmesothelin shRNA, MUC16 shRNAを使用してdouble-knockdownを行った。こうすることで膵癌細胞株PK9, CfPAC1のMUC16単独,mesothelin単独,およびMUC16/mesothelin double knockdown膵癌細胞株を樹立した。樹立したMUC16抑制膵癌細胞株,mesothelin抑制膵癌細胞株,およびMUC16/mesothelin double knockdown膵癌細胞株(PK9, CfPAC1)をGeneChip Human U133 plus 2.0 arrayを用いて網羅的遺伝子発現解析を行った。現在vector control導入株とMUC16抑制株,mesothelin抑制株,およびMUC16/mesothelin double knockdown膵癌細胞株でそれぞれ比較し,下流遺伝子を探索している。これにより、既にこれまでの研究で明らかとしている膵癌における、MUC16とmesothelinの浸潤過程に関与するpathwayが明らかとなり、新規治療ターゲットとしての重要な基盤となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はshRNAを用いたMUC16単独,mesothelin単独,およびMUC16,mesothelin double knockdown膵癌細胞株の樹立を行った。引き続いてそれらの細胞株を用いた網羅的遺伝子発現解析を行っている。本研究は多大な労力と時間のかかる作業である。また、その結果は慎重に解析し、平成25年度予定の研究へと繋がる予定である。それと平行し、MUC16,mesothelinによる膵癌の浸潤能増強のメカニズムを解明することを目的に、樹立したMUC16単独、mesothelin単独、およびMUC16,mesothelin double knockdown膵癌細胞株を用いて、Epithelial-mesenchymal transition(EMT)関連マーカーとして知られる上皮系マーカー(E-cadherin, α-catenin),間葉系マーカー(N-cadherin, Vimentin)およびそのmaster regulatorであるSail, Slug, Twist, SIP1の発現の亢進または減弱についてリアルタイムRT-PCR、Western blotting法を用いた検討を始めている。
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Strategy for Future Research Activity |
現時点では当初予定していた研究計画を着実に遂行できており、平成25年度に予定している研究計画を予定通り遂行できる見込みである。現在行っているMUC16、mesothelinによる膵癌の浸潤能増強のメカニズムとして可能性のあるEMTにスポットを当てた検討に加え、本年度はMUC16抑制膵癌細胞株,mesothelin抑制株,MUC16/mesothelin double knockdown株,それぞれのvector control株をそれぞれNOD/SCID miceの膵尾部に注入し,浸潤・転移能を検討する。研究を行うに当たっての機器は各種遠心器、検体・試料を保存する超低温冷凍庫、液体窒素凍結保存容器、細胞培養に必要なクリーンベンチ、安全キャビネット、オートクレーブ装置(免疫組織化学染色用もあり)、ウォーターバス、細胞培養CO2インキュベーター、免疫組織化学染色に必要なパラフィン包埋ブロックの薄切機材や各種生化学薬品は、免疫化学染色後の評価のためのCCDカメラ撮影が可能である蛍光顕微鏡(倒立および正立)、マイクロプレートリーダー、バイオアナライザー、リアルタイムRT-PCR装置、PCR装置、凍結薄切標本を作成するためのクリオスタット、ウエスタンブロット装置、電気泳動装置なども当科研究室内に備えてあり、これらの機器および設備は現在も他の研究で稼働中であり、今後の研究の推進に不備なものはないものと考えている。
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Research Products
(2 results)